解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

3・29死刑執行を弾劾する(1012号8面)

 3・29法相・小川による3人の死刑執行を弾劾する

3人の死刑執行を徹底弾劾する

 3月29日、法相・小川敏夫の死刑執行命令により3人の死刑囚の死刑が東京・広島・福岡の各拘置所で強行された。福岡拘置所に収監されていた松田康敏死刑囚、東京拘置所に収監されていた古澤友幸死刑囚、広島拘置所に収監されていた上部康明死刑囚の三人が国家権力によって虐殺されたのである。 今回の死刑執行は、2010年7月28日に当時の法相・千葉景子が2人の死刑執行を行なって以来、約1年8ヵ月ぶりで、民主党主導の政府になって2度目、野田内閣の下では初の執行である。これによって全国の拘置所に収監されている死刑囚は133人となっている。
 法相・小川による3人の死刑執行を、徹底して弾劾する。
 小川は裁判官、検事、弁護士の法曹三者すべてを経験した経歴を持つ。菅内閣では法務副大臣を約一年務め、省内調整に奔走するなど、法務行政のエキスパートとして知られる。2012年1月、野田改造内閣で法務大臣に任命され、初入閣。就任後の記者会見では、前任の平岡秀夫をはじめ江田五月、仙谷由人ら民主党出身の法相がいずれも慎重な姿勢を示していた死刑の執行について「法律で定められた法相の職責なので、大変つらい職務だが、その職責をしっかりと果たしていきたい」と述べ、死刑の執行を明言した。死刑制度をめぐり元法相・千葉景子が法務省内に設置した勉強会に関しては「廃止や維持の意見は出尽くしている。議論を重ねてもあまり意味がない」と述べ、打ち切りも含めて再検討する意向を示した。執行が長期にわたって見送られ、確定囚が130人に及んでいることに関しては「執行されないまま確定囚がどんどん増えていくのは法律の趣旨に合っていない」と発言し、死刑執行を強行することを明らかにしている。
 1年8ヵ月ぶりの死刑執行に関し、法相・小川は3月29日、午前11時から法務省内で記者会見し、「国民の大半が死刑を支持し、とりわけ国民の声を反映させる裁判員裁判でも死刑が選択されている。こういったことを重要な要素と考え、法律の規定通り法相の職責を果たすべきだと判断した」と述べた。「犯罪に対して、どのような刑罰で臨むかを決める権利は国民にある。世論調査で85パーセントの国民が死刑を支持している」とまず世論の支持を強調した後、すでに10人以上に死刑を言い渡している裁判員裁判に言及し、「国民の声を反映するための制度で死刑が支持されている。それなら職責を果たすのが大臣の務めだと思う」としたのである。
 上部康明死刑囚は、一審の段階で「心神耗弱」の精神鑑定が出されていた。松田康敏死刑囚も「知的に限界級」と鑑定されていた。いずれも責任能力の有無について、死刑の判決の是非が問われていたケースである。とりわけ、松田死刑囚の場合は、弁護人に再審請求を依頼し、弁護人もその準備に着手していた。上部死刑囚は、再審弁護人との接見において秘密交通権が保証されていないことに対して、これを違法として国賠訴訟を提起したこともあった。死刑執行は当然に回避されるべきケースであった。
 就任後、わずか2ヵ月間しか経過していない段階での、十分な記録の検討もされないままの拙速を極めた死刑執行であり絶対に許すことはできない。

死刑制度撤廃をかちとれ

 内閣府が2009年に実施した「基本的法制度に関する世論調査」によると、「場合によっては死刑もやむを得ない」が85・6パーセントを占めた。これに対し、「どんな場合でも死刑は廃止すべきだ」は5・7パーセントにとどまっている。この「死刑推進の世論」も、結局国家権力主導で造られたものでしかない。世界的に見れば、死刑制度は廃止の方向に進んでいる。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が3月27日に公表した調査によると、昨年に死刑を執行した国は国連加盟国など198ヵ国のうち20ヵ国にとどまる。死刑を維持している国は57ヵ国、10年以上死刑を執行していないケースも含めた廃止国は141ヵ国に上る。国連は一昨年の総会で、死刑適用の停止に関する3度目の決議を採択した。少なくとも内閣府の「世論調査」の数字なぞ操作されたものでしかない。
 日帝・法務省は死刑執行にあたり、死刑囚の名前と犯罪事実、執行場所を公表している。ブルジョア・マスコミを使って犯罪事実を大々的に宣伝することで、死刑囚が「凶悪な人格」であることを印象づけさせている。このことで、「これだけ凶悪な人間ならば、死刑で当然」ということをアピールし、「死刑推進の世論」を形成するというやり方である。法務省は、今回もまた、死刑執行に対して都合の悪い情報は伏せたまま、ただただ「死刑執行支持の世論」をつくり、死刑反対運動を圧殺することを目的に「情報公開」を行なったのである。
 実際には、国家権力による虐殺行為そのものである死刑執行自身にたいする、労働者人民の広範な疑問があるのは間違いない。「足利事件」「布川事件」などの「冤罪」事件続発を通して、警察権力が無実の労働者人民を不当逮捕してウソの「自白」を強制し、「物的証拠」を平気で捏造し、司法権力が追認して労働者人民を監獄に叩き込んでいく横暴ぶりが暴露されている。また、大阪地検特捜部による証拠捏造も暴露され、労働者人民のあいだで、そんな国家権力に対する広範な怒りが噴出している。

弾圧強化―治安管理強化を許すな

 2009年5月に裁判員制度が導入された。
 裁判員制度は、国家権力が裁判員制度を通して「国家とともに社会の秩序を守る」という意識と習慣を育て、労働者人民を治安強化に動員し、戦時司法を実現するためのものだ。
 裁判員制度では、裁判員への辞退者が続出し、また、審理が始まるまで時間がかかりすぎ、大幅に審理が滞っており、裁判員裁判制度は破綻状態だ。「公判前整理手続き」などで裁判の迅速化が進み、被告や弁護士の負担が増え、公判で被告側が不利になっていくとともに、「被害者参加制度」も導入されている。「遺族」「犯罪被害者」が裁判に加わり、感情に訴えて法廷で証言することで、死刑判決を煽っている。裁判員は、圧倒的な検察側の情報の洪水にまみれながら、十分な審議もされないまま、短期間に、死刑判決に参加しなければならない。こうして裁判員制度の下で、10件以上もの死刑判決が強行されたのだ。「国民の大半が死刑を支持し、とりわけ国民の声を反映させる裁判員裁判でも死刑が選択されている」と法相・小川が死刑執行の理由を挙げているのはまやかしである。国民の裁判員に指名された者が死刑判決に強制的に参加させられる裁判員制度なぞ粉砕あるのみである。 
 深まる世界大恐慌爆発情勢下、狡觜饉腟舛虜納紊隆牒瓩任△詁帝は、シャカリキに戦時体制形成に突き進んでいる。「凶悪犯罪の増加」をキャンペーンし、治安管理強化を強制しようとしている。その前提として、死刑制度がある。日帝国家権力は、あたかも死刑制度に「凶悪犯罪」に対する「抑止力」があるかのように幻想を持たせながら、「死刑制度存続」へと世論を誘導している。あたかも犯罪それ自身が犯人個人の「自己責任」であるかのごとく言いなしながら、死刑判決が司法権力によって乱発され、国家権力による虐殺が正当化され、既成事実化されていくのである。
 何より、死刑制度そのものが戦時体制の一環としての攻撃であることを見逃してはならない。朝鮮反革命戦争に突入しようとする日帝国家権力は、死刑制度を堅持することで、かつての治安維持法弾圧のように、戦争に反対する者や勢力を極刑によって、爐澆擦靴甅瓩箸靴撞垰Δ掘△△襪い六犒瑳更圓鰈喝することで組織壊滅型弾圧を加速させようとしているのだ。そして、日帝国家権力は、東アジア反日武装戦線や連合赤軍の死刑執行にも踏み込もうとしているのである。
 戦時体制形成を見据えた弾圧強化―治安管理強化を断じて許してはならない。労働者人民の闘いで死刑制度を撤廃させよう。戦争遂行にひた走る野田連合政府を打倒し、日帝国家権力解体へ進撃しよう。