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4・21「JR尼崎脱線事故七年を考える! ノーモア尼崎事故、生命と安全を守る集会」・デモが闘われる〈尼崎〉(1015号3面)

  2005年4月25日、107人の命を奪い562人の負傷者を出した「JR尼崎脱線事故」が発生し、今年で7年目を迎えた。
 4月21日、野坂昭生氏・小山敏夫氏・桐生隆文氏・小西純一郎氏・丹羽通晴氏・佐野修吉氏・有田修氏・藤原浩二氏・三塩和敏氏が呼びかけ人となった「ノーモア尼崎事故、いのちと安全を守る集会実行委員会」主催で、尼崎での集会と事故現場への追悼デモ・献花行動が取り組まれた。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間も結集した。

呼びかけ人の有田修氏による基調提起

 午後2時、JR尼崎駅のすぐ近くにある尼崎小田公民館ホールで集会が開催され、約70人が結集した。
 はじめに、国労大阪地区本部の藤原浩二氏が開会あいさつを行なった。主催者あいさつでは、元「国労闘争団を支援する京都の会」事務局長の小山敏夫氏が、「事故から7年経ったがJRの体質はまったく変わっていない。今後も大事故が繰り返されるのではないのか」「JRの刑事責任を追及し続ける必要がある」と述べた。
 続いて、基調提起が有田修氏によって行なわれる。「107名の生命を奪ったJR尼崎脱線事故から4月25日で7年が経過する。JRが掲げた安全基本計画は今年で予定の五年を経過するが、安全の確立も半ばであるにもかかわらず、事故の幕引きを計り事故前の体質以上の『儲け』体質を復活させようと躍起になっている」「本年1月11日に神戸地裁において、山崎前社長に対する無罪判決が言い渡され、同月25日に無罪が確定した。この裁判の結果は『具体的な危険性を認識した上で、事故当時鉄道本部長であった山崎前社長が、事故を予測できたか』等3点を主な争点としたが、現行法では業務上過失致死傷罪は法人の刑事責任は問われないといった問題や、検察の追及の不充分さが指摘されている」「無罪判決に対し多くの遺族の方々は悲痛な表情で悔しさをにじませていた。しかし、裁判の中で当初『前社長に急カーブのATS整備基準を伝えた』とされる元部下たちの供述が、公判が始まるやことごとく覆されたことや、弁護側の主張の中で、事故当時に常態化していた『回復運転』がなかば強制されていた事実についても全面否定し『ダイヤには余裕があった』と居直っている問題は決して許されることではない」「控訴断念後に佐々木社長は『事故の責任を負って、引き続き、被害者対応・安全対策の推進・企業風土の変革に全力で取り組む』とコメントしているが、それは事故の結果について述べているにすぎず、根本的事故責任、いじめ・差別の体質や安全より儲け追求といった企業体質については何ら責任をとろうとしていない。そして、最も危惧されるのが、2月17日に西明石駅付近で起こった自動車との接触事故のような頻発する事故がまたも大惨劇を起こす危険性だ」「JR尼崎脱線事故は、国鉄分割・民営化、国労差別、専制的職場支配作りといった一連の国家的不当労働行為が必然的に作り出した結果だ。そして、JR西日本の体質は東日本大震災で東京電力が見せた『隠す・過小評価する・嘘をつく』といった姿勢と全く瓜二つだ。『本当の事は言わない』『国民の命を守ろうとしない』という政府・東電の姿も黙過できない」「格差・貧困・低賃金労働とJAL解雇のような労働者の権利を根底から否定する企業の横暴が広がっている。閉塞した政治・社会状況の中で、『労働者の団結する権利』さえ認めず、『大阪都』構想・教育条例・九条改悪につきすすむ『橋下維新』の熱も、競争至上主義であくなき利益追求に奉仕する『自治体つぶし』として告発される日が来るだろう」「私たちは、働くものと利用者住民が、しっかりと手を握り、あいまいな幕引きを許さず、原因の究明と責任追及、謝罪と原因の除去まで進むことが互いの共通の目標であることを宣言する。連帯を強化し、JR会社(東電も)の幕引きと事故の風化をさせず、安全で安心できる公共鉄道を確立するため、努力を重ねよう」。

「鉄道安全問題研究会」の地脇聖孝氏が講演

 次に、「JR尼崎脱線事故と福島原発事故を検証する」と題して「鉄道安全問題研究会」の地脇聖孝氏が講演を行なった。講演では、「尼崎事故と福島原発事故の共通点」として、「ゝ蚕僂紡个垢覯畤、傲り ∋故が起きた時に隠す、過小評価する、嘘をつく J頂薪な技術者集団と利権ムラを形成し、異を唱える者を排除する す餾による強力な推進体制 ネ益優先、安全軽視 Ω世ぬの仕方、責任逃れの仕方がそっくり 闘う労働組合(国労、電産)つぶしをしてきた」が挙げられた。そして、「今後の闘いの方向性」として、「地域住民とつながり企業を揺さぶる闘いが最も重要。最も虐げられている人達の要求をすくい上げ、政府や企業と闘うこと」「特に女性・若者との結びつきが重要。なぜなら女性・若者はこれまで社会の意思決定から徹底的に排除され、企業犯罪の被害だけを押しつけられてきたからである」「『非正規雇用』労働者、女性、若者、住民の中に入り、基礎を築くこと」「『中電から給料をもらっているのだから反対できるはずはない』と信用されなかった電産中国は、地域でビラをまき続け、住民とつながり信頼を得た。国労高崎は、中曽根元首相のお膝元で信濃川不正取水問題と積極的に関わり、地元(新潟県十日町市)との関わりを作り出した。電産中国、国労高崎の闘いに学ぶこと」「命(安全)と金(利益)のどちらを選ぶのか。利益のためなら人が死んでもいいという価値観から、命のために経済活動を規制する新たな価値観へ転換すること」を提起した。
 「遺族からの訴え」では、「4・25ネットワーク」の藤崎光子氏が、「山崎前社長が無罪となり、裁判では負けたという人がいますが、私は決してそうは思っていない。神戸地裁で40席が被害者に確保され、5人の遺族が意見陳述をした。日航機事故では裁判中にまったく証拠を閲覧できなかったが、神戸地検で閲覧できるようになった。私は、一昨年4月からずっと神戸地検に行って証拠をコピーできないので手書きで書き留めて、欲しい人にお配りしている」「尼崎事故は国鉄の分割・民営化、国労差別、国家的不当労働行為の結果引き起こされた。今後とも闘っていただき、JRを安全な会社にしていただきたい。それができるのは、労働者のみなさんだと思います」と思いを述べた。

事故現場への追悼デモと献花行動

 「JR職場からの報告」では、近畿地方本部から「日勤教育で競争を煽った結果、尼崎事故が起こった」「契約社員は年収200万円。五年で無条件に首を切られる。契約社員と競争させることによって、JRは賃金をどんどん下げ、儲けようとしている」「安全は金では買えない。人命は守らなければならない」との発言がなされた。
 「株主市民の会からの訴え」では、「JRに安全と人権を! 株主・市民の会」の桐生隆文氏が、「山崎は無罪となったけれども、裁判を通じてJR西日本のデタラメさが明らかになった。裁判所は追認し、会社と司法が一体となって民衆を苦しめている」「7月から残りの歴代社長3人の公判が行なわれる。傍聴をお願いしたい」と訴えた。
 「反原発運動からの訴え」では、「さいなら原発・びわこネットワーク」事務局長の野坂昭生氏が、「大飯原発再稼働問題で、『ストップ再稼働』ということで現地事務所を立ち上げた。再稼働は、一つ目に電力会社や財界の圧力から行なわれようとしている。二つ目に、原発の影に核兵器のための核燃料サイクルがあり、これを止めてはならないという思いがある。三つ目に、ヨルダンやべトナムに原発を輸出しておきながら自分の国が原発を止めることはできないという、大資本からの圧力がある。決定的な局面にある大飯現地への結集を」と呼びかけた。
 「連帯のあいさつ」として、「びわ湖ユニオン」書記長の稲森秀司氏は、「私たちの組合員である日系人労働者は、JR東海道新幹線で20年以上も働いていました。三軌工業は、今年の1月20日に一方的に契約を打ち切りましたが、200メートルのレールのゆがみの誤差を見落とさない精度を持った仕事をしてきた人達です。私たちは、三軌工業の不当な仕打ちに負けず、労働者としてあたりまえの権利を実現するまで徹底的に闘います。これからもよろしくお願いします」とあいさつし、争議当該の代表者は、「新幹線の仕事をしていました。首を切られました。私達は三軌と闘っていきます。みなさんよろしくお願いします」と決意を述べた。
 最後は、「おおさかユニオンネットワーク」事務局長の山原克二氏による閉会あいさつだ。「JR西日本は、今でもボロ儲けしている。阪急や阪神でもやっていないものすごいスピードで走っている。JRは、儲けるためにあえて急カーブの工事を行なった。乗務員が10秒遅れても制裁を加えなければならなかった。尼崎事故の後も、速度は絶対に落としていない。長距離でビュンビュン飛ばし、事故がいつ起こってもおかしくない状況だ」「震災で全国の鉄道は混乱している。しかし、JRは新幹線ばかりに力を入れて、被災地のローカル線復旧をまったく行なっていない」「市民の生活と安全を保障することが使命だ」と発言し、集会を締めくくった。
 午後4時30分、事故現場への追悼デモが開始される。デモ後、当時の傷跡がまだ部分的に生々しく残る事故現場のすぐ横で、デモ参加者による献花行動が行なわれた。参加者は、「二度と事故を起こさせない。生命と安全を守るため闘っていく」という決意を固め、この日の行動を終えた。