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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

世界大恐慌爆発情勢下の世界の労働運動
吉村春彦(1043号11面)

 2012年、ゼネストが全世界を席巻した。債務危機が昂進するユーロ圏では年初からのゼネストの嵐が11月には「全ヨーロッパ統一行動」として23ヵ国一斉のゼネスト、街頭行動として爆発した。また、帝国主義が進出し、搾取と収奪の限りを尽くすインドネシアや南アフリカでは「派遣労働禁止」「300パーセントの賃上げ」要求を掲げたゼネストが闘われ、工場地帯の完全封鎖、警官隊による発砲―虐殺攻撃と対峙して果敢に闘われている。

 しかし、これらの闘いは「ヨーロッパ労働組合総連盟」(ETUC)の「カジノ資本主義」批判に見られるように、「節度ある資本主義」要求に集約される側面を残しており、一気に共産主義に突き抜けていくような展望を未だ打ち出すには至っていない。

 日本労働運動は、このような世界の労働運動と比しても遅れをとっている。結成された全国労働組合運動交流会(全労交)の飛躍をかちとり、世界大恐慌爆発情勢の深化のなかで労働者人民への攻撃を強める資本に反撃する態勢を早急に構築し、日本労働運動こそが、世界の労働運動の先頭に起たねばならない。
 そのために、2012年の世界の労働運動に注目していく。

ポルトガル

 ポルトガルの国家財政は破綻が目前に迫っている。国債の利回りは13パーセントという高率に達している。国債を発行すればするほどその返済コストが国家財政を破綻に追い込む「借金地獄」に直面している。失業率は公表されている数値でも14パーセントを超し、事実上20パーセントを超すと見られている。国立統計局の発表する数値では毎日2000人が失業している。コエリョ政権は、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などから780億ユーロ(約7兆8000億円)の融資を受ける条件として「緊縮財政政策」と「労働市場改革」を打ち出した。その一環として昨年11月に税収の増加を目的として付加価値税(消費税)の増税を強行したが、その結果は消費を冷え込ませ、税収も減少する結果となっている。また、「緊縮財政政策」や「労働市場改革」は労働者に「解雇自由」を強制し、最大25パーセントの収入減(賃下げと増税)、労働時間延長、超過勤務手当ての引き下げなどを強制するものとして襲いかかっている。

 3月22日、EU、欧州中央銀行(ECB)、IMFからなる「トロイカ」とコエリョ政権による「緊縮財政政策」と対決するゼネストが闘われた。このゼネストは共産党系の「労働総同盟」(CGTP・70万人)が呼びかけ、参加者は「政府はEUやIMFの言いなりになるな」と叫んで国内38都市でデモを闘い、リスボンやポルトの交通は完全にストップした。学校、病院、裁判所、港湾など公共サービスの多くも休業した。昨年、広場占拠などの直接行動に決起し、学生を中心にして30万人のデモを闘った「10月15日運動」はCGTPとは別のデモを闘い、金融機関への直接行動を闘った。また、昨年11月のゼネストで共闘した社会党系の「労働者総連合」(UGT・52万人)は1月に政府と経営者団体とのあいだで「緊縮財政政策」や「労働市場改革」を受け入れる労働協約を締結し、「ストは雇用を守る最良の方法ではない」として今回のゼネストへの参加を拒否したが、UGT傘下の一部の労働組合はゼネストに参加した。

 さらに、9月にはコエリョ政権が追加で発表した「緊縮策」に対決する大規模デモが集中的に闘われた。この追加の「緊縮策」は、労働者の社会保障費負担を11パーセントから18パーセントに引き上げ、資本の負担を24パーセントから18パーセントに引き下げて「企業投資活性化」の資金とする内容だ。これに対して、ポルトガル労働者は「貧しい者からの略奪はもうたくさんだ」と叫び、9月15日には全国40以上の都市で15万人がデモに起ち上がり、西部海岸都市のアベイルでは20代の青年が焼身決起した。22日には全国で100万人が「緊縮策」反対デモを闘い、大統領宮の前ではゴム弾を発射して鎮圧を図る警官隊との実力攻防ををやりぬき、2万人が徹夜デモを闘った。この連続した闘いによってコエリョ政権は24日、この追加の「緊縮策」を撤回すると表明した。

 11月14日、ETUCが呼びかけ、23ヵ国―数千万人が決起した「緊縮政策反対、雇用と連帯のための全ヨーロッパ行動と連帯の日」はポルトガルのCGTPが提案した。この日の闘いにはCGTPと共に数十の独立労働組合、社会党系のUGTも合流した。バス、鉄道、タクシーなどの大衆交通は完全に止まり、大都市では清掃労働者のストライキでゴミの輸送が全面的に中断した。病院も応急治療しか行なわなかった。ポルトガル法院公務員の80パーセントがストライキに参加した。非常事態以外の地方の電力会社の業務も中断した。国会前でのデモではゴム弾を発射する警官隊に対して青年グループが投石、火炎瓶、爆薬と染料の袋を投げて実力闘争を闘った。CGTP書記長はこの日の行動を「経済と労働破壊、貧困と不平等の深化に反対する政治的ストライキ」と定義している。

スペイン

 失業率が23パーセント、25歳未満の若者では50パーセントを超えるスペインではデモとゼネストが連続的に闘われている。

 昨年11月の総選挙で「社会労働党」・サパテロから政権を奪った「国民党」・ラホイは「ひきつづき改革によって雇用創出と経済回復を目指す」としている。しかし、住宅バブルの崩壊で膨大な不良債権を抱える金融システムへの不信に加えて、地方自治州の財政状況の深刻さも露呈し、国債利回りが7パーセント台後半の過去最高値を記録して危機は深まるばかりだ。公共部門の労働者の賃金はすでに昨年、当時のサパテロ政権が公共部門労働者の賃金と社会福祉費を150億ユーロ(約1・5兆円)削減したことで平均5パーセント削減された。代わったラホイ政権はさらに昨年末に270億ユーロ(約2・7兆円)を追加で削減した。今年7月、ラホイは2014年末までに650億ユーロ(約6・5兆円)の新「緊縮計画案」を発表した。その内容は失業給付を60パーセントから50パーセントに削減、付加価値税(消費税)を18パーセントから21パーセントに引き上げ、タバコ税増税、公共部門労働者のクリスマスボーナス削減などだ。さらに、ラホイ政権は間接税増税などの全面的な税制改革や、鉄道、港湾、空港の民営化を強行しようとしている。ラホイ政権は今年の財政赤字を国内総生産(GDP)比8・5パーセントから5・3パーセントに圧縮することを目指し、少なくとも350億ユーロ(約3・5兆円)の削減を強行しようとしている。「労働市場改革」の内容は、解雇に伴う資本の負担を軽減するという「解雇自由化」だ。労働者たちは「ラホイの改革は企業の人員削減を容易にするだけで、失業がさらに増えるだけだ」と粉砕の決意を固め、闘いぬいている。

 3月11日、2大労組「スペイン労働者総同盟」(UGT)と「労働者委員会」(CCOO)が失業手当の削減、労働時間規制などの改悪に反対するゼネストとデモを呼びかけ、マドリードで40万人が、バルセロナで40万人が決起した。デモは全国60都市で闘われた。

 3月29日にはラホイ政権が打ち出した「緊縮財政政策」や「労働市場改革」に対決する24時間ゼネストが闘われた。このゼネストで自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やルノー、鉄鋼大手アルセロールミタルなどの工場の操業は停止した。公共交通の運行は通常の30パーセントに縮小し、一部の地方テレビ局は放送を停止した。首都マドリードの90万人、バルセロナの80万人をはじめ、大都市部で数十万人がデモを闘った。デモ隊は銀行を襲い、警察がゴム弾を発砲するなか、全国で170人以上が拘束され、警官を含む104人が負傷した。

 5月12日には、「5月15日運動」を中心とする「怒れる人々」に参加する労働者・市民たちが運動開始1周年に際し、スペイン全域の約80の都市で抗議行動を闘いぬいた。この運動は、昨年5月15日、青年失業者たちが首都マドリードの「プエルタ・デル・ソル(太陽の門)広場」に集まり、失業と貧富格差に抗議したことを契機に始まったものだ。マドリードの3万5000人、バルセロナの4万5000人などスペイン全土で22万人がデモに起ち上がり、警察の「午後10時までの解散命令」を粉砕し、「銀行を助け、われわれを助けない政府を許さない」「この政府では、生活が悪化するだけだ」という叫びを上げ、深夜までのデモを闘った。

 同じく5月には、炭鉱労働者がラホイ政権による石炭産業への補助金削減攻撃に対して40の鉱山で無期限ストを開始した。スペインではこの20年間に、相次ぐ炭鉱の閉鎖によって4万人が失業に追い込まれている。今回の補助金削減はさらに残っている炭鉱労働者3万人を失業に追い込むものだ。炭鉱労働者たちは、炭鉱と主な道路を占拠してバリケードを構築し、鉄道の運行も封鎖した。これに対して警察は催涙弾とゴム弾でストを闘う労働者を解散させようとしたが、労働者たちは負傷者を出しながらも手作りの砲弾発射機と投石で果敢に応戦した。7月11日には黒いTシャツを着て17日間1500キロの「黒いデモ行進」を貫徹した200人の炭鉱労働者がマドリードに入り、「怒れる人々」と合流し、4万人の「緊縮策」反対闘争の中心に立った。

 ラホイが打ち出した新「緊縮計画案」に対して、UGTとCCOOは7月19日に80以上の都市でのデモを呼びかけ、マドリードだけでも10万人が決起した。

 9月に入ると、UGTとCCOOは9月15日、「緊縮策」についての国民投票を前提に、ゼネストを行なうことを宣言し、10万人規模のデモを闘った。マドリードでは「緊縮策」反対の『マドリード大行進』デモが闘われ、デモ隊は「経済危機のツケを労働者にまわすな」「緊縮を終わらせろ」というシュプレヒコールを叫んで闘った。25日のデモではデモ隊と警官隊が激突し、約60人が負傷した。さらに、27日にラホイ政権が390億ユーロ(約3・9兆円)の支出削減を盛り込んだ2013年予算案を発表すると、国会議事堂周辺でこれに反対するデモが数千人で闘われた。10月7日にはスペインの56都市で、数十万人がラホイ政権の増税と給与削減攻撃を粉砕するデモを闘った。

 11月14日、ETUCが呼びかけた「緊縮政策反対、雇用と連帯のための全ヨーロッパ行動と連帯の日」は、スペインでは今年2回目の全国ゼネストとして闘われた。UGTはマドリードとバルセロナだけで200万人、全国で900万人以上がストとデモに決起し、労働者のストライキ参加率は77パーセントに達したと発表した。全国で74人が重傷を負い、120人以上の逮捕攻撃を受けつつも、マドリードでは国会前を占拠していたデモ隊が潜入していた偽装した警察官を摘発し、こん棒で殴打してデモ隊を解散させようとする警官隊に対して投石、火炎瓶で対峙した。バルセロナではデモ隊がバリケードに火を放ち、警察車両を炎上させて闘った。

イタリア

 イタリアでは債務残高がGDPの120パーセントを超え、国債の利回りが7パーセントの「危険水域」に張りついている。首相・ベルルスコーニは「財政再建」をかかげて公務員給与の三年間凍結、年金支給年齢の引き上げ、地方助成金削減などの攻撃を強行してきた。昨年11月、ベルルスコーニはさらなる増税、定年年齢の引き上げを内容とする新たな「緊縮策」の可決を強行し、その直後に労働者人民の怒りから逃れるために辞表を提出した。代わって元欧州委員のマリオ・モンティが新首相として登場した。

 モンティ政権は「財政再建」をかかげて2014年までに260億ユーロ(約2・6兆円)の歳出削減や国家公務員の10パーセント削減などの「緊縮策」を断行すると宣言した。さらに、「成長力強化」をかかげ、「労働市場改革法」案―「労働者憲章」の雇用保護規定の改悪に踏み込み、これを成立させるために「イタリア労働総同盟」(CGIL・600万人)を取り込もうとして協議を繰り返してきた。その内容は、「労働者憲章第18条」が倒産などを除き、企業が業績不振を理由にした解雇を禁止していることを槍玉に挙げ、「第18条が、働きぶりの悪い従業員の解雇を事実上不可能にし、新規の採用を阻み、生産性に打撃を与えている」「業績不振の場合は、企業側は補償金の支払のみで解雇可能とすることを認めろ」というものだ。しかし、CGILは「簡単に解雇する構想で労働市場が抱える多くの問題を解決しようとしている」と批判して反対姿勢を崩さなかった。しびれを切らしたモンティは3月20日に協議を打ち切り、「労働市場改革法」案の議会提出に舵を切った。これに対してCGILは翌21日、八時間のゼネストに突入した。ストを支持する大学教授、行政職員、ゴミ収集職員は業務を停止し、人気観光地の古代ローマ円形競技場コロッセオ、フォロ・ロマーノ遺跡は閉鎖された。さらに、4月4日にはCGILが「緊縮策」反対のデモを呼びかけ、労働者、年金生活者、移住労働者、学生など270万人が起ち上がった。

 6月27日、「労働市場改革法」案は下院で承認され、成立した。

 7月に入るとモンティは当初予定していた42億ユーロ(約4200億円)を上回る70億ユーロ(約7000億円)の歳出削減と公共部門の人員削減計画を発表した。これに対してCGILは「公務員削減で政府債務を減らすというのはウソだ。状況をさらに悪化させるだけだ」「ゼネストでたち向かう」と宣言した。CGILが言うようにイタリア経済は「緊縮策」が景気後退をまねき、7月の失業率は2004年以来最高の10・7パーセントに達している。

 9月27日には、大手製鉄業社ILVAの労働者が労働争議を開始し、28日には、「緊縮策」に反対するストがCGILの呼びかけで闘われ、3万人がデモを闘った。また、10月5日には、全国の主要都市で大学生と高校生が「銀行ではなく教育を救え」「危機と緊縮に対抗し、私たちの学校と都市を取り戻そう」というスローガンを叫びデモを闘った。学生たちはバイクのヘルメットをかぶり、自作の盾を持って警察の暴力的鎮圧攻撃と対峙し、ギリシャ領事館前では闘うギリシャ労働者人民との連帯を示すためにギリシャ国旗を引きずりおろして闘った。

 11月14日のETUCが呼びかけた「緊縮政策反対、雇用と連帯のための全ヨーロッパ行動と連帯の日」には、CGILが四時間ゼネストに突入し、数万人がイタリアのすべての大都市でデモに決起した。ローマではゲリラ的なデモが闘われ、警官隊は催涙ガスでデモ隊を解散させようとしたが、中高生や大学生は投石、火炎瓶で応戦した。ピサでは大学生が大学総長室を占拠した。また、学生が鉄道を占拠し、貿易港入口を封鎖して闘った。

 その後もイタリアの高校生や大学生は教育予算削減に反対し、11月24日にはローマなどで100以上の高校を占拠して闘った。大学生は教職員の2割が削減されることに反対して全国でデモを闘い、このデモには教師や失業者も参加した。

ギリシャ

 ギリシャでは6月の時点で失業率が24・4パーセント、15歳から24歳の若年層では55パーセントに達している。失業者の数は121万人を超え、昨年同期から38万人も増えている。これはEU、ECB、IMFからなる「トロイカ」が支援の条件として要求し、ギリシャ政府が強行する債務削減にむけた「緊縮財政政策」が景気後退と失業者増をもたらしていることを示している。実際、10月九日にIMFはギリシャの来年の債務残高の見通しを四月時点の見通しから21ポイントも増加した対GDP比で一八一パーセントに拡大するという見通しを発表した。しかし、「トロイカ」はさらにギリシャ政府に財政赤字の対GDP比率を2011年の9・3パーセントから2014年には3パーセントを下回る水準まで引き下げることを要求している。これを実現するためにギリシャ政府は労働者人民に極限的な犠牲を強制してきている。ギリシャ政府による急激な賃下げ攻撃によってギリシャ労働者の賃金は大幅に低下している。月751ユーロ(約7万5000円)だった最低賃金は22パーセント引き下げられ、585ユーロ(約5万8000円)にまで下がっている。また、公共部門労働者の賃金が大幅に引き下げられ、小学校教師として10年間働いた労働者の賃金が月1500ユーロ(約15万円)から900ユーロ(約9万円)にまで下がっている。警察官の賃金も45パーセント引き下げられ、たまりかねた警察労組は8月に賃上げと「緊縮財政政策」反対をかかげてストをおこなうまでに至っている。

 ギリシャの労働者は2012年冒頭からパパデモス政権の「緊縮財政政策」と対決する闘いに起ち上がった。1月17日、EUなどによる第2次支援の条件である財政赤字削減の進捗状況を精査するために、EU、ECB、IMFの「トロイカ」査察団がアテネに入った。これを直撃する闘いを地下鉄、バス、フェリーの労働者は「EU、IMFは出ていけ」という横断幕を掲げたストライキで闘い、アテネ中心部では1万人が「パパデモス政権は退陣せよ」と叫んでデモを闘った。

 2月6日、ギリシャ政府は「トロイカ」が第2次支援の条件として要求していた公務員の削減について、今年中に採算割れした公社の解体と人員削減を強行して1万5000人を削減すると発表した。この攻撃に対して「ギリシャ総同盟」(GSEE・200万人)と「ギリシャ公務員労組」(ADEDY・75万人)は7日に24時間ゼネストで反撃した。さらに、9日には政府と連立与党(「新民主主義党」・ND)と(「全ギリシャ社会主義運動」・PASOK)が第2次支援を受ける条件となっている最低賃金の22パーセント削減などを盛り込んだ新たな「緊縮策」に合意した。これに対して即座に8000人の労働者が国会議事堂を包囲するデモを闘い、GSEEとADEDYは10日から48時間ゼネストに突入した。新たな「緊縮策」が議決される12日には10万人が国会議事堂を包囲するデモを闘い、若者を中心とする黒い覆面を着けたグループが警官隊と実力攻防を繰り広げ、国会議事堂周辺では火炎瓶や催涙弾が飛び交った。

 4月4日の朝、アテネの国会議事堂前の広場で77歳の男性老人が「ゴミ箱から残飯をあさったり、子どもの重荷になりたくない」と生活苦を訴え、増税や年金の引き下げを続ける政府を「ナチスのギリシャ侵略に協力した政治家と同じだ」と批判する内容の遺書を残してピストル自殺した。これをきっかけに、パパデモス政権の「緊縮財政政策」に反対する2000人が警官隊と衝突した。

 5月6日に実施されたギリシャ総選挙は「反緊縮」の野党・「急進左派連合」(SYRIZA)が躍進し、パパデモス政権の連立与党のNDとPASOKが過半数割れに追い込まれた。しかし、選挙第1党のNDがSYRIZAとの間で進めようとした連立協議は破綻した。その後の選挙第2党、第3党による連立協議も破綻し、6月17日の再選挙となった。再選挙の結果は「緊縮派」が辛うじて過半数を獲得し、NDが第1党となり、党首・サマラスが首相に就任した。サマラス政権の連立与党(ND、PASOK、「民主左派党・HMAP)は、第2次支援の条件となっている約120億ユーロの「追加緊縮策」の大部分を年金や公務員給与などの追加削減によって捻出することを計画している。しかし、HMAPやPASOKは、低所得者や年金受給者を保護する必要があるとの立場から、年金や公務員給与などの削減や最大4万人の公務員削減には強く反対しており、最終的な合意に至っていない。

 9月8日には、ギリシャ北部のテッサロニキで公務員給与や年金の削減攻撃に対して、6月のサマラス政権発足以来初めての労働組合によるデモが1万5000人で闘われた。デモ隊はEUの旗を燃やして「緊縮財政政策」を押しつける「トロイカ」への怒りをあらわした。

 さらに、9月26日には、GSEEとADEDYが2013年から2014年にかけて公務員削減などで115億ユーロ(約1兆1500億円)の歳出を削減するというサマラス政権の「追加緊縮策」に抗議し、二四時間ゼネストに入った。アテネでは7万人が集会―デモを闘い、サマラス政権を批判した。

 10月9日には、ドイツのメルケルがサマラスとの会談のためにギリシャに乗り込んできたが、これに対してギリシャ労働者2万5000人が国会包囲デモに決起し、「メルケルは出て行け。ギリシャは植民地ではない」と書いた横断幕を掲げてバリケードの突破を図り、警官隊と実力攻防を闘った。

 10月18日には、同日ベルギーで開催されたEU首脳会議に対して「緊縮財政政策」に反対する官民二大労組ADEDYとGSEEの呼びかけでゼネストとデモが闘われ、労働者は「われわれが欲しいのはカネではなくて、仕事だ。政府はEU、ECB、IMFの『トロイカ』と一体となって、国民をナメきっている」と怒りを叩きつけた。

 11月6日、7日には国会での「緊縮財政法」の成立を阻止する48時間ゼネストがGSEEとADEDYによって呼びかけられた。10万人のデモ隊は議会での採決を阻止するために警察の催涙ガス、放水銃による弾圧に対して火炎瓶と投石で対峙して闘った。

 11月14日、ETUCが呼びかけた「緊縮政策反対、雇用と連帯のための全ヨーロッパ行動と連帯の日」には昼食時間の3時間のストライキと共に、多くの都市で集会とデモが行なわれ、公務員の給与引き下げや年金引き下げに対する抗議デモに5000人が起ち上がった。

フランス

 「EU内での財政健全国のトップリーグ」と豪語していたフランスでは2012年冒頭から激震が走った。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズがフランス国債の格付けを最上級の「AAA」から一段階下げると発表したのだ。フランス経済は爛蝓璽泪鵝Ε轡腑奪畍紊裡横娃娃糠のGDP成長率はマイナス3パーセントまで落ち込んだ。2010年には辛うじて1・7パーセントに回復したが、「欧州債務危機」が長期化するなかで2012年第1・四半期の実質GDP成長率は前期比ゼロに低下している。また、国家財政も悪化し、今年の財政赤字は対GDP比4・5パーセントにのぼり、EUの基準である3パーセントを上回っている。この経済の冷え込みぶりは失業者の増大に如実に表れている。フランス政府の発表では1月時点の失業者数は286万人に達している。爛蝓璽泪鵝Ε轡腑奪畫阿裡横娃娃固前半の失業者数・200万人から4年間で40パーセントも増えているのだ。「欧州債務危機」の影響は自動車産業にも暗い影を落としている。PSAプジョー・シトロエンは7月12日、欧州市場の低迷を理由に、フランス国内の生産体制の再編と8000人の人員削減を含む合理化計画を発表した。

 このような経済悪化のなかで、教職員の大幅削減を内容とする「教育制度改革」(2008年〜2009年)、年金支給年齢の引き上げや減額を内容とする「年金制度改革」(2010年)と、連続的に労働者人民に犠牲を強いる攻撃をかけてきた大統領・サルコジが、労働者人民の怒りの高まりのなかで5月の大統領選に敗れ、「社会党」のオランドが大統領に就任した。6月の国民議会選挙では「社会党」が単独過半数を獲得した。

 「経済成長による財政再建」を唱える新大統領・オランドは経済政策に公務員増員や定年退職年齢の引き下げなどを組み込み、高額所得者および大企業への大幅な増税を打ち出した。9月28日に、オランド政権は2013年度予算案を発表したが、その内容は財政赤字を対GDP比3・0パーセントに抑え込むために300億ユーロ(約3兆円)の歳出削減を行なうというものだ。削減分の200億ユーロ(約2兆円)は、高額所得者への一時的な75パーセントの税率の適用、株式配当や投資への税率引き上げなどの増税で調達し、残りの100億ユーロは公共投資の凍結で調達するとしている。

 9月30日、フランスではEU加盟国に財政規律の強化を求める「新財政協定」の批准に抗議する五万人のデモが闘われた。オランド政権の与党・「社会党」や財政規律を主張する中道右派政党などは「新財政協定」を支持しているが、「左翼戦線」(「フランス共産党」や「左翼党」などの連合)や与党の環境保護政党は、「新財政協定」に反対している。

 11月14日、ETUCが呼びかけた「緊縮政策反対、雇用と連帯のための全ヨーロッパ行動と連帯の日」には「フランス共産党」(PCF)、「左翼党」、「反資本主義新党」(NPA)と「フランス労働総同盟」(CGT)や「フランス民主労働同盟」(CFDT)が参加し、パリでの5000人デモをはじめ、150の都市でデモが闘われた。この日の闘いは、オランド政権成立後の最初の主要労組の行動となった。

ドイツ

 EU域内で最大の経済力(3割)を持つドイツ経済は、爛蝓璽泪鵝Ε轡腑奪畍紊裡横娃娃糠のGDP成長率がマイナス5パーセントを記録したものの、翌2010年には3・7パーセント、2011年は3パーセントを記録し、EU内での「ひとりがち」を喧伝してきた。しかし、「欧州債務危機」の長期化はドイツ経済をも「例外扱い」することはなく、GDPの4割を輸出に依存するドイツの2012年の成長率は0・7パーセントへの低下が予測されている。ドイツの代表的企業である自動車メーカーのオペルは「欧州債務危機」の影響を受けて新車販売が低迷し、9月から12月にかけてドイツ国内の4工場のうち、2工場で20日間の操業停止を決定している。

 また、ドイツ経済は2008年の爛蝓璽泪鵝Ε轡腑奪畍紊眤臧な失業率の増加を見ず、「雇用の奇跡」と言われたが、その影では低賃金労働者がこの10年間で二割も増えて800万人に達し、全労働者の23パーセントにも及んでいることを見逃してはならない。低賃金労働者の平均時給をみると、旧東独地域で6・25ユーロ(約650円)、旧西独地域で6・68ユーロ(約700円)と、低賃金労働者と規定する基準額の9・15ユーロ(960円)を大きく下回っている。さらに時給6ユーロ(約600円)未満で働く労働者は250万人強にのぼり、うち80万人はフルタイム労働者だった。月給に換算すると約1000ユーロ(約10万円)にしかならず、低賃金労働者の約3分の1が劣悪な労働条件で働いていることになる。

 「キリスト教民主同盟」(CDU)をはじめとする保守連立政権の首相・メルケルは相対的に堅調なドイツ経済を背景にして財政破綻に直面するギリシャやスペインなどに「財政再建」と「財政規律の強化」を要求している。しかし、自国の経済後退に際して取る手法に他のEU諸国と違いはない。2009年から開始した「債務ブレーキ」と呼ばれる起債制限を内容とする「財政健全化策」は「成長ブレーキだ」と批判を浴びている。失業手当の削減をはじめとする財政赤字削減策や「非正規雇用」の拡大は労働者人民の怒りを高め、2011年に実施された7つの州議会選挙では、CDUの退潮傾向が鮮明になっている。

 そういったなかで、公務員労働者の6・5パーセント賃上げを要求して警告ストを闘っていた「ヴェルディ」(統一サービス産業労働組合)は3月30日、要求通りの賃上げと職業訓練生の「正社員化」(無期限雇用)にむけた成果をかちとった。警告ストでは公営交通、清掃・ごみ処理、保育所、病院、劇場など公的機関各部門の「ヴェルディ」組合員と、団交権を「ヴェルディ」に委託している「教育・学術労組」(GEW)組合員も警告ストを闘い、全国では計約21万5000人が参加した。この闘いにつづき、自動車・電機産業部門、ドイツ・テレコムなどで働く労働者が6・5パーセントの大幅賃上げを求め、次々と警告ストを闘った。大幅賃上げの理由は2000年から2011年末までに専門職の労働者の実質賃金がインフレや社会保険料の値上げによって約18パーセントも低下しているということだ。

 11月14日、ETUCが呼びかけた「緊縮政策反対、雇用と連帯のための全ヨーロッパ行動と連帯の日」には首都ベルリンで200人が連帯のデモを闘った。

イギリス

 2009年段階でギリシャ以上の財政赤字(対GDP比率)を抱えていたイギリスでは、2010年5月の総選挙で「保守・自由連立」のキャメロンが登場した。キャメロンは5年間で800億ポンド(約10兆円)の歳出削減計画を打ち出した。その内容は児童手当の3年間凍結、年金受給開始年齢の68歳への引き上げなどの社会保障解体、付加価値税(消費税)増税と50万人におよぶ公務員削減といった労働者人民に犠牲を強要するものばかりだ。

 3月、財務相・オズボーンは2012年度予算案の発表にあたり、「法人税率引き下げと規制緩和で持続可能な成長目指す」としたが、「欧州債務危機」による景気後退はイギリスを直撃し、第1・四半期はマイナス0・3パーセント、第2・四半期はマイナス0・7パーセントと、3期連続のマイナス成長を続け、失業率は8パーセント台後半に張りつき、若年層の失業率は爛蝓璽泪鵝Ε轡腑奪甍聞漾■献櫂ぅ鵐箸眈緇困靴討い襦

 キャメロンの「緊縮策」攻撃はサッチャー時代以上の公務員に対する解雇―賃下げ攻撃として強行されている。イギリスでは特殊法人、国民医療サービス、地方政府、学校などの公的部門で600万人が働いているが、キャメロンは「公的部門の歳出の30パーセントが給与の支払いであるため、歳出削減には人員整理が最も有効だ」として、昨年1年間だけでも教育関係で7万1000人、医療関係で3万1000人の首を切っている。全体ではキャメロン登場以降の1年半で38万人の公務員が首を切られた。さらに、キャメロンは公務員の首切り攻撃に止まらず、公務員賃金の大幅な引き下げも強行しようとしている。その方法は、現在は全国同一の給与体系を、地域間の経済格差を反映したものに変更するというものだ。物価が安く、生活費の支出が低く済む地域では、これにあわせて給与を低く調整するという仕組みだ。今年中には職業安定所などで働く16万人を対象にして地域差を反映した給与体系を実行し、来年以降、全公的部門に適用しようとしている。このような公務員首切り―賃下げ、年金切り下げ攻撃に対して、5月10日、「公共・商業サービス労組」(PCS、25万人)、「ユナイト」(150万人)加盟の医療労働者、大学職員組合などが24時間ストに起ち上がった。この闘いは病院や刑務所職員、入国管理員、救急隊員、非番の警察官まで含んだ公務員労働者40万人によって闘いぬかれた。

 10月20日には、「労働組合会議」(TUC)が呼びかけて「緊縮財政政策」に反対するデモが闘われ、ロンドン、グラスゴー、ベルファストなどで15万人が参加した。TUCの書記長・バーバーは集会で「緊縮策は貧しい弱者を打ちのめすばかりで、成果も出ていない」「われわれが苦痛を受け入れれば景気は回復すると言われてきたが、実際には二番底に陥っている」とし、政府に対して公務員給与の削減などに代わって経済成長や雇用創出に重点を置くよう要求した。イギリスでは公共セクターと民間セクターのそれぞれ最大労組であるPCSと「ユナイト」の組織統一に向けた協議が進んでいる。

アメリカ

 2012年のアメリカ労働運動は、「民主党」・オバマ政権による「教育の民営化」攻撃に対する教育労働者の闘いと、労働組合を作らせない企業として有名な世界最大のスーパーマーケット・チェーン「ウォルマート」でのストライキが焦点となった。

 9月10日、全米第三の都市・シカゴで、市長の「教育改革」に反対する「シカゴ教職員組合」(CTU)が25年ぶりのストライキに突入し、約2万9000人の教職員が7日間のストを闘った。シカゴ市当局と労組の攻防は、生徒の成績評価にもとづいて学校と教員の評価を行なって賃金を連動させ、成績の低い教師は解雇も可能とし、評価の低い学校は廃校して「チャータースクール」と呼ばれる「公設民営校」に再編するという市当局の提案をめぐってだ。「チャータースクール」は民営となるので教職員は公務員ではなくなり、成績や利益が上がらなければ即、廃校にされる。まさに「教育の民営化」攻撃だ。オバマはシカゴを先例にし、これを全米の州、自治体に拡大することを狙っている。

 オバマ政権の連邦政府教育長官・ダンカンはシカゴの前教育長官として教育現場に市場原理を導入してきた人物だ。2004年に「ルネッサンス2010」と称してシカゴの教育改革は始まった。全米の他の市では、「学区長」、「教育長」と呼ばれるポストを、シカゴでは「学区CEO」(最高経営責任者)という名称に変え、教育委員会と学区行政を徹底的に民間企業スタイルで運営する方式に変えていった。教育委員会への住民参加も廃止された。この改革を推進したのはマイクロソフトの「ビル・ゲイツ財団」などの大資本だ。市当局の提案に対して労組は6月にストライキ方針を提起し、スト権投票した労組員の98パーセント、全労組員の90パーセントの圧倒的賛成でスト権を確立した。労組員は、市民団体、保護者組織とともに、連日ビラ配りや地域の組織化に力を入れ、シカゴ全体の大闘争に発展した。しかし、労組側がもっとも問題としたのは教員への業績連動給の導入だったが、社会的注目は低評価校を廃校にすることの是非に集中した。低評価校は低所得層の多い地域に集中しているため、これらの学校が廃校されれば公教育を受ける機会の平等が失われる可能性があるからだ。2011年の中間選挙で「共和党」が中央と地方の両方で勝利して以降、全米で「共和党」首長による州公務員労組に対する破壊攻撃が強まっている。シカゴの「教育改革」は「民主党」出身の市長が公教育の現場に市場競争原理を導入し、労組破壊攻撃に踏み込むものであった。CTUは7日間のストで賃金への成果主義導入は阻止したが、低評価校の廃校―「チャータースクール」化を受け入れて妥結した。「教育の民営化」攻撃を粉砕する地区共同の闘いは実現せず、課題として残ることになった。

 世界最大のスーパーマーケット・チェーン「ウォルマート」でストライキが相次いでいる。同社は一貫して労組敵視の姿勢を取ってきた。労組結成の情報を掴むと中心メンバーを解雇し、労働者への報復や脅迫を行ない、労組破壊を繰り返してきた。闘いは同社の北米最大の配送センターから始まった。9月13日、配送センターの臨時雇用労働者が超過勤務手当ての支払いを要求して連邦裁判所に提訴した。同社は報復の解雇攻撃をかけた。これに対して配送センターの倉庫労働者三八人が解雇撤回を求めてストライキに突入した。このストライキは広範な支持を得て継続し、「ウォルマート」に重大な打撃を与えた。10月1日には、ストライキ中の労働者と支援の労働者600人が17人の逮捕攻撃を受けつつも倉庫と周囲の道路を封鎖して闘った。3週間のストライキによって、労働者は解雇撤回をかちとって職場復帰し、ストライキ中の賃金や作業環境の改善もかちとった。さらに、10月8日には12の州、28の店舗で同社の労働者がストライキに突入し、10日には同社の年次株主総会へのデモを闘った。ストに決起した労働者たちは同社が労働者の組織化への妨害と報復をやめなければ、感謝祭後の年末商戦が始まる11月23日の金曜日を「暗黒の金曜日」にすると宣言し、当日は46州100都市の1000ヵ所でストライキ、集会、デモを闘った。ウォルマートでの闘争はいずれも労働組合が存在しない職場で闘われている。アメリカでは「全国労働関係法」で過半数従業員の同意署名がないと労働組合結成ができなくされている。しかし、「労働法」では労働組合に加盟していない労働者にも集団で労働条件の改善を要求する権利を認めている。不当労働行為があった場合にはストライキも認められている。「ウォルマート」で始まった闘いは、たとえ資本が労組圧殺―破壊を繰り返しても労働者が起ち上がり、資本にストライキなどで打撃を与え、地域の支援を組織化し、「労働法」も駆使した闘いによって勝利することが可能であることを示している。

韓国

 韓国労働運動は、李明博政権と韓国資本による「複数労組制」移行を利用した第2組合育成や、第3のナショナルセンター「国民労総」デッチ上げという破壊攻撃を受けつつも、鉄道など公共部門の民営化阻止闘争、「非正規雇用」労働者を先頭にした「非正規職撤廃」をかかげた工場制圧スト、街頭行動、高空篭城闘争を闘いぬいている。

 韓国では、一昨年に改悪された「労働組合および労働関係調整法」が昨年7月1日から施行され、労使交渉の窓口を職場の過半数を占める労組にしか認めない「複数労組制」と、使用者が同意しない限り少数労組には団体交渉権を認めない「窓口単一化」が開始された。李明博政権と韓国資本はこれを利用して、「民主労総」加盟の労組や工場占拠闘争などで戦闘的に闘う「金属労組」を狙った破壊攻撃をかけてきている。

 自動車部品を製作する企業「マンド」では夏休み中に職場閉鎖と用役投入が強行され、第2組合が設立された。「特別賞与」をエサにして加入工作をおこない、第2組合を設立した「マンド」資本は「民主労総」に加盟する「金属労組マンド支部」との団体協約の破棄を一方的に通告した。さらに、「マンド」資本と「金属労組マンド支部」とのあいだで「交渉窓口単一化」の手続きが終了していることを確定するための裁判が継続中であるにもかかわらず、第2組合との「窓口単一化」の手続きに入っている。このような第2組合デッチ上げ工作は同じ「マンド」系列の「コンチネンタル」「ボッシュ電装」や「ユソン企業」でも強行されている。これらは明らかに「金属労組」―「民主労総」破壊を目的としたものだ。韓国政府が「民主労総」破壊のために資金の大半を国庫から出して第3のナショナルセンター「国民労総」設立を支援し、「ソウル地下鉄労組」の「民主労総」からの脱退と「国民労総」への加入を推進した事実も明らかになっている。「金属労組マンド支部」は第2組合に加入した労働者を「マンド支部」に復帰させるための闘いに入っている。

 このような労組破壊攻撃をうけつつも、韓国労働者は李明博の公共部門の外注化、民営化を許さず闘いぬいている。李明博政権は韓国高速鉄道(KTX)民営化政策を打ち出したが、国民的な反対の声に押され中断を余儀なくされた。しかし、それでも「民営化路線」をあきらめず、鉄道公社の民営化にむけ、鉄道公社の駅施設、車両基地などの鉄道施設の回収を開始している。施設を回収して国家に帰属させたうえで、その資産を大企業や海外資本に再委託することで民営化を強行しようとしているのだ。これに対して「公共運輸労組連盟全国鉄道労働組合」(鉄道労組)は警告ストにつづき、全面ストによって粉砕する闘いを開始している。この闘いには「ガス公社支部」と「健康保険公団支部」、「国民年金公団支部」、学校「非正規職」労働者も合流し、10月31日には全面ストを闘いぬいている。

 現代自動車をはじめとした自動車産業でも「金属労組」が「非正規職撤廃」をはじめとする要求を掲げ、7月から13万人が決起したストライキを号砲にして3次におよぶストライキを闘い、命を賭けた高空篭城闘争に決起している。7月13日、現代、起亜、韓国GMなどの大手完成車メーカーを含む「金属労組」加盟の159の事業所で13万人の労働者が4時間の部分ストに突入した。これは2006年に産別労組として「金属労組」が発足して以来、最大規模のストライキだ。この闘いは「深夜労働撤廃、元下請不公正取り引き根絶、非正規職撤廃、労働基本権争奪」を掲げて開始された。この闘いは7月20日の第二波スト、8月10日の第3波ストへと続き、民主労総が呼びかけた8月29日の13万7000人地域ゼネスト、8月31日に1万5000人が結集したソウル上京集中闘争として拡大していった。現代自動車資本は8月、「正規職労組」である「金属労組現代車正規職支部」との第7次交渉で「社内下請け労働者3000人を段階的に正規職に転換する」と提案し、11月の第11次交渉では最高裁で不法派遣を認められたチェ・ビョンスン氏を「正規職」として採用すると発表した。しかし、「非正規職労組」である「現代車非正規職支会」は「3000人の正規職転換提案は8000人の非正規職の存在を無視した非正規職存続方針であり、チェ・ビョンスン氏の最高裁判決は彼一人の問題ではない。すべての非正規職の正規職化を行なえ」と、提案を拒否し、10月17日から蔚山工場でチェ・ビョンスン氏と「非正規職支会」事務局長・チョン・ウィボン氏が高さ五〇メートルの送電塔に上がり、高空篭城闘争に突入している。さらに、11月20日からは平沢の双龍自動車で解雇された労働者3人が15万ボルトの電流が流れる高さ30メートルの送電塔の上で籠城闘争に突入している。双龍自動車資本は2009年に2608人の整理解雇と455人の「無給休職」処分を強行した。以来、野宿しながらの解雇撤回闘争の過程では23人の労働者が死亡している。双龍自動車資本は10月10日に「2014年末までに無給休職者の復職を推進する」と裁判所に調停案を出した。しかし、「金属労組双龍車支部」は「不当な整理解雇の真相究明と責任者処罰、死んでいった仲間たちへの最低限の補償、解雇者の即時復職」を要求して新たな闘いに入っている。

インドネシア

 トヨタ、ホンダ、パナソニック、川崎重工業など、多くの日帝資本が進出するインドネシアでは、派遣労働者が先頭に立って「派遣労働の禁止」「外注化の禁止」「最低賃金の引き上げ」「事業主負担の医療保険制度の開始」をせまるゼネスト、道路封鎖、日本大使館へのデモなどの実力闘争を闘いぬいている。

 インドネシアでは全労働人口4000万人のうち四割にも及ぶ1600万人が派遣労働を強制されている。インドネシアの「労働法」では外部委託は5つの補助的な業種(清掃、警備、運転、給食及び鉱山での補助的作業)に限定され、中核的業務は禁止されている。しかし、多くの企業は中核的業務を含む大部分の業務を「外注化」し、「派遣労働」を導入している。多くの労働者は150万ルピア(約1万2700円)という低賃金を強制されている。

 今年1月20日、西ジャワ州の5万人の労働者がストライキと実力闘争に決起した。行政裁判所が州政府に対して最低賃金引き上げの決定を取り消すよう命じたからだ。労働者は多くの逮捕者を出しながらも工場を操業停止に追い込み、8時間にわたって高速道路を封鎖して闘った。この闘いは「経営者協会」などの資本を追いつめ、ついに資本側に行政裁判所に出していた最低賃金引き下げ要求を撤回させるという成果をかちとった。

 この闘いの直後の1月27日には、憲法裁判所が「外部委託の導入によって仕事を奪われ、失業したのは憲法違反だ」という労働者の訴えを認め、「外部委託は違憲であり、憲法にうたわれた労働者の権利を侵害する」という判決を出した。この判決をかちとったインドネシア労働者の闘いは「派遣労働禁止」にむけて大きく盛り上がっていった。

 6月から7月にかけて、首都・ジャカルタではデモに起ち上がった労働者が資本に対して派遣労働者、契約労働者、研修生の「正社員化」を要求して工場を包囲し、経営者に要求書への同意署名を要求して闘った。

 そして、10月3日には全インドネシアで280万人がゼネストに決起した。インドネシアの21の州と都市、80の工業地区、5000余の工場で280万人の工場労働者が「賃上げ」、「外注化の禁止」、「派遣労働の禁止」、「全労働者への健康保険・社会保険の適用」を要求して起ち上がった。このゼネストは、「インドネシア労働組合連盟」(KSPI)「インドネシア福祉労組」(KSBSI)、「金属労連」(FPSMI)などが結集する「インドネシア労働者評議会」(MPBI)が呼びかけた。首相・ユドヨノはゼネストを圧殺するために国軍と警察の合計3万5000人を動員し、国会、空港、工業団地周辺に厳戒態勢を敷いたが、ゼネストとデモに決起した労働者は工場団地に通じる道路を実力で封鎖し、ホンダ、パナソニック、川崎重工業など多くの日帝資本の工場を操業停止に追い込んだ。このゼネストと実力闘争で追いつめられたインドネシア政府の労働・移民相は11月19日、工場労働者などの「非正規雇用」を実質的に禁止する大臣令を発令した。

 さらに、12月に入り、トヨタや「ミツバ」などの日帝資本の工場で派遣労働者として働き、解雇された労働者1000人がジャカルタの日本大使館に対するデモに起ち上がり、「派遣労働者の違法解雇の撤回」と「正社員としての再雇用」、「派遣労働の禁止」をせまる闘いを闘いぬいている。

 このようなインドネシア労働者の実力決起に対してトヨタをはじめとする日帝資本はロックアウトで対抗し、「契約期間が終了しており、残りは会社が禁じている抗議デモに参加したため、派遣会社を通じて契約を打ち切った」と解雇を居直っている。さらに、インドネシア政府に対しては「治安や法的保護が不十分」と、労働運動破壊の弾圧を強化せよと要求し、「非正規雇用禁止」の大臣令の撤回を要求し、撤回しなければ工場をインドネシア国外に移転すると脅しをかけている。

 「日本企業はインドネシア人を苦しめるのはやめろ」「子供を学校に行かせるカネがない」「われわれは日本企業の奴隷として働かされている」というインドネシア労働者の叫びと闘いに応える日本労働運動の国際連帯の闘いが求められている。

南アフリカ

 世界有数の鉱物資源生産国であり、英帝資本などによって多くの労働者が低賃金での労働を強制されている南アフリカで鉱山労働者が大幅賃上げを要求してストライキに決起した。この闘いは、4割もの国民が一日3ドル以下での生活を強制されている南アフリカ労働者人民の怒りと闘いを呼び起こし、鉱山から製造業へと波及し、トヨタなどの日帝資本に対する闘いへと拡大している。

 今年8月、プラチナを生産する英帝資本「ロンミン」の南アフリカのマリカナ鉱山で現状の3倍にあたる月額1万2500ランド(約11万6000円)への賃上げを要求して労働者3000人がストライキに突入した。これに対して警察が労組間の対立を口実にして介入し、デモ中の労働者に発砲して34人を虐殺し、78人にケガを負わせた。この事件をめぐって新聞などのマスコミは「大量殺戮」「戦場」「鉱山虐殺」といった見出しとともに現場の写真を掲載し、大きく報道した。検察はこの直後、ストに参加していた労働者270人を人種隔離政策(アパルトヘイト)時代の法律を適用して殺人罪で起訴した。労働者は「アパルトヘイトの再来だ」と怒り、法務大臣が検察の決定に介入する異例の事態に発展した。検察は批判を受け、訴追撤回の方針を示し、労働者たちを釈放した。鉱山労働者は大統領・ズマの親族が関係する企業が所有するモダー・イースト金鉱などでも抗議デモを闘い、隣接する金鉱山では1万5000人がストに突入し、大幅賃上げをかちとっている。

 南アフリカでは8月から10月の一連の労働争議で鉱山労働者7万5000人がストライキに決起し、さらに全産業へと拡大せんとしている。鉱山労働者の闘いは製造業にも波及し、南アフリカに進出している日帝資本に対する闘いとしても爆発している。10月上旬、トヨタ自動車のダーバン工場は賃上げを要求した労働者のスト突入で四日間の生産停止に追い込まれた。5・4パーセントの賃上げによって生産は再開したが、さらに10月17日には自動車用座席などを製造するトヨタ紡織の現地工場の労働者が手当てをめぐって無期限ストライキに突入し、再び生産停止を強制されている。英帝の石油メジャー「シェル」では2万人のトラック運転手が2週間にわたるストを闘っている。この闘いによって「シェル」はヨハネスブルクなどへの石油の配送ができない状況に追い込まれている。低賃金と劣悪な労働条件を強制して資源を強奪し、搾取と収奪を欲しいままにする帝国主義への怒りはますます高まっている。