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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

2・21法相・谷垣による 死刑執行を弾劾する(1049号8面)

三人の死刑執行を徹底弾劾する

 2月21日、法相・谷垣の死刑執行命令により、3人の死刑囚の死刑執行が東京・大阪・名古屋の各拘置所で強行された。東京拘置所に収監されていた金川真大死刑囚と、大阪拘置所に収監されていた小林薫死刑囚、名古屋拘置所に収監されていた武藤(現姓加納)恵喜死刑囚が、国家権力の手によって虐殺されたのである。

 安倍極右政府になってから初の死刑執行であるが、野田政府の法相・滝による前回の2012年9月27日の執行から5ヵ月足らずであり、しかも安倍政府発足からわずか2ヵ月弱にしての執行であることを考えると、死刑執行のハイペースぶりに拍車をかけるものである。死刑執行にあたり法相・谷垣(前自民党総裁)は、「いずれの事件も身勝手な理由で尊い生命を奪った極めて残忍な事案だ」と死刑執行を正当化した。さらに、「裁判所が慎重に判断した結論だ。法務省にも十分検討させ、私も記録を丁寧に読んだ上で判断した」「法治国家として裁判所が確定した判決を厳正に執行していく必要もある。今後とも極めて慎重、厳正に対応していく」と言いなした。前回の死刑執行から5ヵ月足らずの間にも司法権力による死刑判決が乱発されており、今回の執行前の段階で死刑囚は137人に膨れあがっていたが、この執行によって、全国の拘置所に収監されている死刑囚は134人となった。
 法相・谷垣による3人の死刑執行を徹底弾劾する。

 日帝・法務省は、死刑執行にあたり今回も死刑囚の名前と犯罪事実、執行場所を公表している。ブルジョア・マスコミを使って犯罪事実を大々的に宣伝することで、死刑囚が「凶悪な人格」であることを印象づけている。このことで、「これだけ凶悪な人間ならば、死刑で当然」ということをアピールし、「死刑推進の世論」を形成しようというやり方である。法務省は、今回もまた、死刑執行に対して都合の悪い情報は伏せたまま、ただただ「死刑執行支持の世論」を作り、死刑反対運動を圧殺することを目的に「情報公開」を行なったのである。

 奈良・女児誘拐殺害事件を引き起こした小林薫死刑囚は、奈良地裁の死刑判決後に控訴を取り下げ、死刑が確定。その後、再審請求をしたが、最高裁が特別抗告を棄却していた。今回執行された3人のうち2人は、自ら控訴を取り下げたことにより死刑が確定していた。他の1人は、第一審の無期懲役刑判決が検察官の控訴によって覆されており、裁判官の間でも量刑判断が分かれた事案であった。にもかかわらず、問答無用とばかりに3人の死刑囚への死刑を執行したのである。

 今回、「産経新聞」の報道では、「死刑囚の中に自ら執行を望んだ者がいる」ことを紹介して死刑執行の「正当性」をアピールしているが、とんでもないことである。まっとうに生きることも許さずに絶望の末の自暴自棄を強制していくこと自身、断じて許すことはできない。生殺与奪の権利を国家権力が握ることを誇示することで労働者人民に屈服を強制しようという、ドス黒い安倍政府のやり口には腹わたが煮えくり返る思いである。

死刑制度撤廃をかちとれ

 政府主導で形成された、「死刑執行を望む世論」なるものを「追い風」に、司法権力による死刑判決が乱発されている。殺人事件の起訴に対する第一審での死刑判決の割合が、直近の5年間で、戦後の混乱期並みに増加するまでになっている。裁判員制度導入の結果もあり、厳罰化傾向が顕著に出てきている。こうして死刑囚の数は増え続けている。「収監されている死刑囚の数が多すぎる」なぞとする「世論」を受けながら、安倍政府はさらなる死刑執行を強行しようとしている。そもそも、今日の死刑執行強化のレールを最初に敷いたのも、7年前の前回の安倍政府であった。

 そんな日帝政府に対する非難が、世界中から上がっている。元々歴代の日帝政府は、国連総会決議、国連人権理事会の普遍的定期審査、そして国際人権規約委員会の勧告等で、再三、死刑の廃止に向けて努力することを強く要請されているが、一切無視を決め込んだままである。昨年12月20日には、国連総会において、全ての死刑存続国に対し、死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議が、過去最多の111ヵ国の賛成多数で採択されているにもかかわらず、である。たまらず日本弁護士連合会が2月12日に、法相・谷垣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑冤罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。谷垣は、そんな日弁連の「要請書」を鼻でせせら笑うかのごとく、死刑執行に踏み切ったのである。

 「死刑執行を望む世論」にしても、世界の国々では死刑廃止を決定するにあたり、「世論」の多数が死刑支持であったところを転換させている。日帝足下では、政府の「まず死刑執行ありき」の姿勢が、「世論」を誘導しているにすぎない。

 実際には、国家権力による虐殺行為そのものである死刑制度自身にたいする、労働者人民の広範な疑問があるのは間違いない。無実の人間に対して死刑・重刑判決をうちおろすケースが満天下にされている。「足利事件」「布川事件」などの「冤罪事件」が続発し、最近では「東電OL殺人事件」で「犯人」とされたネパール人・ゴビンダ氏に対する再審が行なわれ、昨年11月7日に東京高裁で無罪判決が出された。しかし、無実のゴビンダ氏に無期懲役判決を打ち下ろした警察権力・司法権力は、到底反省なぞしていない。無罪判決を出した東京高裁・小川(今年3月5日付けで狭山担当から外れる)は、ゴビンダ氏側が要求した謝罪や誤判の検証も拒否している。ゴビンダ氏は「どうして私が15年間も苦しまなければならなかったのか、日本の警察、検察、裁判所はよく考えて、悪いところを直して下さい」と訴えている。警察権力が無実の労働者人民を不当逮捕してウソの「自白」を強制し、「物的証拠」を平気で捏造し、司法権力が追認して労働者人民を監獄に叩き込んでいく横暴ぶりが暴露されている。労働者人民のあいだで、そんな国家権力に対する広範な怒りが噴出しているのである。

戦時体制形成をみすえた治安管理強化を許すな

 いみじくも法相・谷垣は、今回の死刑執行にあたり「国際的動向より、治安維持、国民の安心安全の確保を考えるべきだ」と傲慢に言い放っている。安倍極右政府は、明確に朝鮮反革命戦争突入とファシズムを意識しながら、今後も死刑執行を積み重ねようとしている。安倍政府は、狡觜饉腟舛虜納紊隆牒瓩日帝であることを自覚するがゆえに、戦時体制形成に突き進み、治安管理強化に突撃しているのだ。その前提として、死刑制度がある。日帝国家権力は、あたかも死刑制度に「凶悪犯罪」に対する「抑止力」があるかのように幻想を持たせながら、「死刑制度存続」へと「世論」を誘導している。あたかも犯罪それ自身が犯人個人の「自己責任」であるかのごとく言いなしながら、死刑判決が司法権力によって乱発され、国家権力による虐殺が正当化され、既成事実化されていくのである。

 何より、死刑制度そのものが戦時体制形成の一環としての攻撃であることを見逃してはならない。安倍極右政府は、死刑制度を堅持することで、かつての治安維持法弾圧のように、戦争に反対する者や勢力を極刑によって爐澆擦靴甅瓩箸靴撞垰Δ掘△△襪い六犒瑳更圓鰈喝することで組織壊滅型弾圧を加速させようとしているのだ。そして、日帝国家権力は、東アジア反日武装戦線や連合赤軍の死刑執行にも踏み込もうとしている。

 現在、安倍政府は「共謀罪」新設を見据えた治安管理強化を進めている。既に、野田政府の時点から、労働者人民の一元管理を狙った「共通番号制導入」、公務員などの「機密情報流出」を弾圧する「秘密保全法」制定などが浮上していたが、安倍政府はその流れをさらに加速させている。安倍政府は、発足直後から「盗聴法」改悪を声高に叫び立てている。安倍政府の意を受け、1月29日に法制審議会特別部会は、捜査当局にとって都合のよい部分的な録音・録画の検討、「盗聴法」の改悪、刑事免責制度などの導入についても具体的な検討に入ると発表した。検察、警察は、「盗聴法」の対象犯罪を拡大する、盗聴を行なう際に通信事業者などの立会いをなくす、警察施設での盗聴を可能にする、室内・車の盗聴も認めることなどを要求している。「盗聴法」改悪の先には「共謀罪」がある。こうして安倍政府は、公安警察どもに今まで以上の組織壊滅型反革命弾圧のフリーハンドを与えることで、一挙に治安維持法弾圧を再来させようというのだ。労働者人民を管理・統制し、弾圧と戦争動員を狙う安倍政府の策謀を、阻止しなければならない。

 政府の戦争政策の一環としての治安管理強化なぞ、断じて許してはならない。労働者人民の闘いで死刑制度を撤廃しよう。戦争遂行にひた走る安倍極右政府を打倒し、日帝国家権力解体へ進撃しよう。