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9・12法相・谷垣による死刑執行を弾劾する (1075号8面)

 1人の死刑執行を徹底弾劾する

 9月12日、法相・谷垣の死刑執行命令により、1人の死刑囚の死刑執行が東京拘置所で強行された。東京拘置所に収監されていた熊谷徳久死刑囚が、国家権力の手によって虐殺されたのである。

 昨年12月に安倍極右政府が発足してから早くも3度目の死刑執行であり、前回4月の執行から約4ヵ月半と、死刑執行のハイペースぶりに拍車をかけるものとなった。安倍極右政府による死刑執行は、これで計6人となった。

 死刑執行にあたり法相・谷垣(前自民党総裁)は、「誠に身勝手な理由で尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり、被害者や遺族にとって無念このうえない事件だ。裁判所で十分な審理を経たうえで最終的に死刑が確定した事実を踏まえ、慎重な検討を加えたうえで死刑の執行を命令した」「どういう基準で執行を命じたかは答えられない。執行停止を命ずる理由はないかなど、慎重に検討した」と言いなした。そして法相・谷垣は、死刑制度存廃の検討について「現在のところ、必要と思っていない」とまで言い放った。こうして谷垣は、今後も粛々と死刑を執行していく姿勢を改めて強調した。

 今回の死刑執行によって、全国の拘置所に収監されている死刑囚は132人となった。法相・谷垣による1人の死刑執行を徹底弾劾する。

 日帝・法務省は、死刑執行にあたり今回も死刑囚の名前と犯罪事実、執行場所を公表している。ブルジョア・マスコミを使って犯罪事実を大々的に宣伝することで、死刑囚が「凶悪な人格」であることを印象づけさせている。このことで、「これだけ凶悪な人間ならば、死刑で当然」ということをアピールし、「死刑推進の世論」を形成しようというやり方である。法務省は、今回もまた、死刑執行に対して都合の悪い情報は伏せたまま、ただただ「死刑執行支持の世論」を作り、死刑反対運動を圧殺することを目的に「情報公開」を行なったのである。

 今回死刑が執行された熊谷死刑囚は、2004年に横浜・中華街の料理店主を射殺して現金を奪い、さらに同年6月に渋谷駅の通路で、駅の売上金を奪おうとして駅員を拳銃で撃ち重傷を負わせていた。一審・東京地裁は、死亡した被害者が1人であることから無期懲役としたが、二審・東京高裁は、「犯行の残忍さ」などを理由に「死刑を回避しなければならない事案ではない」と死刑を言い渡した。2011年3月に最高裁が上告を棄却し、死刑が確定した。谷垣の死刑執行に対して、日本弁護士連合会(日弁連)は「執行された死刑囚は、一審は無期懲役で、二審で死刑判決が言い渡され、裁判官の間でも死刑にすべきかどうかの意見が分かれた事件だった。社会的な議論が行なわれないまま繰り返し死刑が執行されるのは到底容認できない」としている。できるだけ死刑執行への批判が起こらないと判断した人格を特定して執行することで、死刑執行の既成事実を積み上げ、大量執行へのレールを敷こうとしているのは明白である。

 なお、国際オリンピック委員会(IOC)総会で「2020年東京オリンピック」開催が決定したのは9月8日であり、安倍極右政府による死刑執行はそのわずか4日後のことである。オリンピック招致成功のために「(福島第一原発の汚染水は)完全にブロックされている」「コントロール下にある」と平気で大ウソをつく安倍のことだから、オリンピック招致成功までは国際社会から非難を受けないように振る舞い、決定後に凶暴な本性をあからさまにするその小汚いやり口が、死刑執行においても通用すると思っているのだろう。こんな安倍のごとき腐りきった輩を、絶対に許してはならない。

死刑制度撤廃をかちとれ

 死刑執行を乱発する日帝政府に対する非難が、世界中からあがっている。元々歴代の日帝政府は、国連総会決議、国連人権理事会の普遍的定期審査、そして国際人権規約委員会の勧告等で、再三、死刑の廃止に向けて努力することを強く要請されているが、一切無視を決め込んだままである。

 5月31日、国連の拷問禁止委員会は、日本を対象とした審査の「総括所見」を発表した。この「総括所見」では、日本政府に対して「死刑を廃止する可能性を検討すること」と、前回(2007年)よりも一歩踏み込んだ、死刑制度廃止への取り組みを含む勧告がなされている。また、刑事司法制度や死刑確定者の拘禁状況に関し、「代用監獄制度の廃止」「不必要な秘密主義」「長期にわたる独居拘禁の使用回避」「弁護人による効果的援助の確保」「死刑執行の合理的な事前通知」など、死刑制度に関わるさまざまな「改善点」が指摘された。日本政府は、拷問等禁止条約等の批准国として、委員会から勧告された点について改善する義務を負っている。しかし、死刑廃止等に向けた努力を行なうことなく、国際社会からの要請を一切無視し続けているのが現実である。

 世界では7割に当たる140ヵ国が法律上または事実上死刑を廃止し、死刑制度の廃止への流れは続いている。そんななかで、2012年の執行国数はわずか21ヵ国で、日本はその内の1ヵ国として名を連ねた。また、主要帝国主義国で死刑執行を継続しているのは日帝以外には米帝だけであり、しかもその米帝にしても、今年、メリーランド州が、法律で死刑を廃止する18番目の州となった。2012年度に米帝足下で死刑を執行したのは、9つの州のみとなっている。あの米帝ですらも死刑廃止に向かっているにもかかわらず、日帝は世界の死刑廃止の流れに背を向け続けている。

戦時体制形成をみすえた治安管理強化を許すな

 「死刑執行を望む世論」なるものは、重要な情報を国家権力のごく一握りの人間が握り、「世論」を都合よく誘導した末に作られたものである。その一例として、内閣府の行なう「世論調査」では、「日本国民の八割以上が死刑制度を容認している」と結論づけているが、実際には「死刑容認」を誘導する内容の設問の結果生み出されたものでしかない。実際には、死刑執行自身にたいする、労働者人民の広範な疑問があるのは間違いない。警察権力が無実の労働者人民を不当逮捕してウソの「自白」を強制し、「物的証拠」を平気で捏造し、司法権力が追認して労働者人民を監獄に叩き込んでいく横暴ぶりが暴露されている。労働者人民のあいだで、そんな国家権力に対する広範な怒りが噴出している。

 安倍極右政府は、明確に朝鮮反革命戦争突入とファシズムへの接近を意識しながら、今後も死刑執行を積み重ねようとしている。安倍政府は、狡觜饉腟舛虜納紊隆牒瓩日帝であることを自覚するがゆえに、戦時体制形成に突き進むなかで、治安管理強化に突撃している。その前提として、死刑制度がある。あたかも犯罪それ自身が犯人個人の「自己責任」であるかのごとく言いなしながら、死刑判決が司法権力によって乱発され、国家権力による虐殺が正当化され、既成事実化されていくのである。

 何より、死刑制度そのものが戦時体制形成の一環としての攻撃であることを見逃してはならない。安倍極右政府は、死刑制度を堅持することで、かつての治安維持法弾圧のように、戦争に反対する者や勢力を極刑によって爐澆擦靴甅瓩箸靴撞垰Δ掘△△襪い六犒瑳更圓鰈喝することで組織壊滅型弾圧を加速させようとしているのだ。そして、日帝国家権力は、東アジア反日武装戦線や連合赤軍の死刑執行にも踏み込もうとしている。

 安倍政府は、「共謀罪」新設をも見据えた治安管理強化を進めている。安倍政府は今度の臨時国会に、「秘密保護法」案を提出しようとしている。政府が恣意的に決める、軍事・警察などの「特定秘密」を外部へ漏らすと、最長10年もの重罰刑を科すとするものである。国家権力による言論統制を一挙に強化しようとするものである。米帝の国家安全保障会議(NSC)にならった「日本版NSC法」案も、秋の臨時国会で審議されようとしている。そして「2020年東京オリンピック」を機に、安倍極右政府は一挙に首都・東京を戒厳体制下に叩きこもうとしている。2012年の「ロンドン・オリンピック」においても、英帝警察権力による治安・監視体制が強化された結果「オリンピックを口実にしてロンドンを巨大な刑務所に変えた」と言われた。安倍極右政府は、かつて1936年「ベルリン・オリンピック」を開催したナチスドイツがそうであったように、「東京オリンピック開催」をステップに、労働者人民の管理・統制を強化し、弾圧と戦争動員を一挙に進めようとしているのだ。こんな安倍政府の策謀を、阻止しなければならない。

 安倍政府の戦争政策の一環としての治安管理強化なぞ、断じて許してはならない。労働者人民の闘いで死刑制度を撤廃しよう。戦争遂行にひた走る安倍極右政府を打倒し、日帝国家権力解体へ進撃しよう。