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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

2015年版「防衛白書」批判 (1154号6面)

 7月16日の衆院本会議における「安保法制関連法」の採決強行から5日後の7月21日、安倍政府は、閣議の場で、防衛相・中谷が報告した2015年版「防衛白書」を了承した。安倍政府は、通常国会会期を9月27日まで延長し、何としても会期中に「安保法制関連法」を成立させようとしており、一挙に戦時体制形成に突進しようとしている。そのための猴論武装瓩虜猯舛箸靴董■横娃隠鞠版「防衛白書」は位置づけられている。

 2015年版「防衛白書」は、「集団的自衛権行使」を正当化し、より強力な戦時体制形成を念頭に置くがゆえに、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の脅威」「中国の脅威」を煽るだけ煽りたて、「日米同盟」強化を正当化するものとなっている。その先にあるのは、大手をふった軍備増強と自衛隊の猩働者人民虐殺の軍隊瓩箸靴討虜栃圈Χ化である。

 朝鮮反革命戦争とファシズムに突撃する安倍政府の目論見が、この「防衛白書」には凝縮されている。その「防衛白書」の内実を暴露する。

「北朝鮮脅威」の一大煽動

 「防衛白書」の冒頭に、防衛相・中谷が「防衛白書の刊行に寄せて」なる巻頭文を掲載している。その最初の一文からして、「常に変化していく安全保障環境に対して、防衛政策に思考停止があってはなりません」なぞと実に挑発的である。労働者人民の安倍政府に対する戦争政策への広範な批判を、「思考停止」なぞと罵倒しているのである。そして、「防衛省・自衛隊はいかなる事態においてもわが国の領土、領海、領空を守り抜く最後の砦であり、不断の努力と着実な対処能力を備えることが極めて重要」といいなしながら、「安保法制関連法」を何としても成立させる意思を鮮明にしている。その上で「わが国の防衛には、国民の皆様のご理解とご支援が不可欠」「防衛省・自衛隊に対するご理解を」などと結んでいる。戦時体制形成の前提として、労働者人民の戦争動員のさらなる加速を狙っていることを、あけすけにしているのである。

 次に、「日本の防衛 この1年」の項では、自衛隊強化・拡大に明け暮れた1年を年表の形でまとめている。「災害救助」を前面に押し出して自衛隊の活動を自画自賛しつつ、いかに自衛隊海外派兵を強化し、「安保法制関連法」成立への準備を進めてきたかを強調している。ご丁寧にも、今年5月末の、海上自衛官・伊藤弘のソマリア沖の多国籍任務部隊(CTF151)の司令官就任について「自衛隊創設以来初めての多国籍部隊の司令官」なぞと但し書きをつけているところに、国際社会でのさらなる突出を狙う自衛隊のあからさまな猝酲将瓩透けて見える。

 「防衛白書」の構成は、「第吃堯,錣国を取り巻く安全保障環境」「第局堯,錣国の安全保障・防衛政策と日米同盟」「第敬堯々駝韻寮弧拭財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組」となっている。

 「第吃堯,錣国を取り巻く安全保障環境」は、いわば情勢提起であるが、総じて「いかに日本周辺の『脅威』が増大しているか」に眼目を置く記述になっている。

 まず、冒頭の「概観」において、「わが国を取り巻く安全保障環境は、様々な課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化してきており、一層厳しさを増している」としながら、「周辺国による軍事力の近代化・強化や軍事活動などの活発化の傾向がより顕著にみられるなど、わが国周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の課題や不安定要因は、より深刻化している」「既存の地域・国際秩序の変更・否定や、経済権益の獲得を企図した主張や動きが顕在化・先鋭化し、これが今後、グレーゾーンの事態や地域紛争の増加につながる可能性がある」と、日帝を脅かす「脅威」への警戒感をあらわにしている。そして、「国際社会における安全保障上の課題や不安定要因は、複雑かつ多様で広範にわたっており、一国のみでの対応はますます困難なものとなっている」「政府横断的な取組が進められるとともに、地域・国際社会の安定に利益を共有する国々が安全保障上の課題などに対し、協調しつつ積極的に対応することがますます重要」として、「集団的自衛権行使」を正当化している。

 「概観」の「第二節 アジア太平洋地域の安全保障環境」では、より詳細な個別の事例を取り上げている。このうち、北朝鮮については、「北朝鮮の軍事動向は、わが国はもとより、地域・国際社会の安全保障にとっても重大な不安定要因」なぞと位置づけて、具体的な事例として、「核・ミサイル開発」を挙げている。さらに、「核兵器をはじめとする大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発・配備、移転・拡散を進行させるとともに、大規模な特殊部隊を保持するなど、非対称的な軍事能力を引き続き維持・強化している」とし、「核実験を実施しており、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性」「わが国が射程内に入る核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスク」「高濃縮ウランを用いた核兵器開発も推進している可能性」なぞと露骨に「北朝鮮脅威」を強調している。そして、「北朝鮮は、わが国を含む関係国に対する挑発的言動を繰り返し、特に2013年には、わが国の具体的な都市名をあげて弾道ミサイルの打撃圏内にあることなどを強調」としている。北朝鮮の一連の動きが、米帝との交渉を有利に進めて「体制保障」を得るための「瀬戸際外交」の一環であることを承知の上で、「北朝鮮脅威」を最大限煽動しているのである。

 「第一章 諸外国の防衛政策など」の「第二節 朝鮮半島」では、北朝鮮の「大量破壊兵器・ミサイル開発」の実像を詳細に掲載している。特に「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)」について、「2015年5月にはSLBMの試験発射に成功したと発表した」と強調した。さらに、金正恩体制について「張成沢処刑や降格や解任を含む頻繁な人事異動にともなう萎縮効果により、幹部が金正恩の判断に異論を唱え難くなることで、北朝鮮が十分な外交的勘案がなされないまま軍事的挑発行動に走る可能性も生じつつあり」としている。つまり、安倍政府は、金正恩を「外交的勘案なく軍事行動に走る」ような「何をしでかすか分からない危険人物」と評価しているということである。安倍政府は、「拉致問題」をめぐって北朝鮮との形ばかりの「交渉」を進めているが、はじめからまとめるつもりなぞ毛頭なく、呑めない要求を繰り返して決裂させることが前提なのだ。金正恩の「粛清」による権力掌握をおどろおどろしく描き出しながら、金正恩を敵視して「経済制裁」を強め、戦争熱を煽ろうという安倍政府の薄汚い計算が、「防衛白書」の記述からも透けて見えるのだ。

「中国脅威論」の記述が増大

 今回の「防衛白書」で特徴的なのは、中国に関する記述が、より挑発的になっていることである。明らかに、「安倍応援団」たる自民党の介入によるものである。7月7日の段階で、自民党国防部会は、防衛省が示した2015年版「防衛白書」の了承を見送っている。元自衛官・佐藤正久を筆頭とする自民党議員どもが「中国の東シナ海(ママ)でのガス田開発をめぐる記述が少ない。外務省も防衛省も国民に知らせないといけない。安全保障法制に非常に大きく関わる」などと圧力をかけたのだ。

 「防衛白書」の記述では、まず、「概観」の「第二節 アジア太平洋地域の安全保障環境」において、「中国は、東シナ海(ママ)や南シナ海(ママ)をはじめとする海空域などにおいて活動を急速に拡大・活発化させている。特に、海洋における利害が対立する問題をめぐっては、力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言える対応を継続させ、自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢を示している」「わが国周辺海空域においては、公船によるわが国領海への断続的な侵入のほか、海軍艦艇による海自護衛艦に対する火器管制レーダーの照射や戦闘機による自衛隊機への異常な接近、独自の主張に基づく東シナ海(ママ)防空識別区の設定といった公海上空における飛行の自由を妨げるような動きを含む、不測の事態を招きかねない危険な行為に及んでいる」なぞとし、あたかも中国との「一触即発の事態」が進んでいるかの如く描き出している。

 「第一章 諸外国の防衛政策など」の「第三節 中国」では、「中国脅威」の具体的な事例を、これでもかとばかりに列挙している。まず、軍事費の増大をあげる。「1988年度から27年間で約41倍、2005年度から10年間で約3・6倍となっている」というものだ。それだけ27年の間に、日帝の圧力が強まっているということなのである。そして、「領土問題」の「争点」とされる「尖閣諸島」(中国名・釣魚列島)について「尖閣諸島周辺のわが国領海において、領海侵入を企図した公船の運用状況からルーチン(常態)化の傾向が見られている」とし、中国の船舶が恒常的に「尖閣諸島」周辺を動いていることを「軍事的挑発」なぞと描きだしている。しかし、そもそも「尖閣諸島」の「国有化」を強行して中国を挑発し、中国側が動くように仕向けたのは日帝の側である。中国側は、日帝の理不尽な主張に対し「中国が釣魚列島周辺の中国の領海でパトロールすることは、法による主権の行使であり、中国側の権利である」と反論している。さらに、新たに、「海洋プラットフォーム」の存在を「脅威」として挙げている。「中国は、東シナ海(ママ)や南シナ海(ママ)において、石油や天然ガスの採掘およびそのための施設建設や探査を行なっているが、2013年6月以降には、東シナ海(ママ)の日中中間線の中国側において、新たな海洋プラットフォームの建設作業などを進めていることが確認」なぞと言いなしている。しかし、いかにも強引なこじつけである。「中国の東シナ海(ママ)での海洋開発」を「軍事的脅威」と言い張るのなら、日帝の進める海洋開発も「軍事拠点建設が狙い」と追及されても反論できなくなるからである。もっとも一方では、安倍政府は、堂々と沖縄・名護新基地建設を強行しているのであり、こんな主張はまさに狹霓楊圈垢靴き瓩里燭阿い任△襦「防衛白書」では、「中国側が一方的な開発を進めていることに対して、わが国から繰り返し抗議をすると同時に、作業の中止などを求めている」というのだが、そんな理不尽な要求が通るはずもなく、中国側は「中国が管轄する争いのない海域でのガス田開発は完全に正当で、合理的かつ合法だ」として海洋開発を継続している。「南シナ海(ママ)問題」についても、安倍政府は、介入を狙う姿勢をあけすけにしている。「(中国は、)南沙諸島にある7つの岩礁において、急速かつ大規模な埋め立て活動を強行しているほか、一部の岩礁では滑走路や港湾を含むインフラ整備を推進している」とし、滑走路・港湾建設を詳しく取り上げている。総じて、「今後とも中国は、東シナ海(ママ)や太平洋といったわが国近海および南シナ海(ママ)ならびにそれらの上空などにおいて、活動領域をより一層拡大するとともに活動の活発化をさらに進めていくものと考えられる」としているのである。この他、「防衛白書」では、中国が「弾道ミサイルに搭載して打上げる極超音速滑空兵器」を開発していることも取り上げており、中国の軍備増強によって米帝の「ミサイル防衛網」が突破されることに恐怖していることがうかがえる。

 こうして「防衛白書」では、とにかくネタを集めるだけ集めて「中国脅威」を最大限煽りたてているのである。おまけに、安倍政府と防衛省に「今後、中国は緊張を高める一方的な行動を慎み、『法の支配』の原則に基づき行動することが強く期待されている」なぞとエラそうに説教まで垂れるのだから、始末が悪い。

「『イスラム国』の脅威」を明記

 「防衛白書」では、この他にロシアの「ウクライナ紛争」などを分析している。そして、中東についても詳細に記述しており、特に、新たに「イスラム国」について独自に分析している。中東反革命戦争の参画強化を狙う安倍政府の意向が丸見えである。

 「概観」の「第三節 グローバルな安全保障上の課題」で、「イスラム国」について取り上げている。「中東・アフリカ地域では、『アラブの春』後の混乱や内戦、地域紛争などを背景に、国家の統治が及ばない地域が拡大し、そこに国際テロ組織が進出して組織を拡大し、活動を活発化させている例が多くみられている」とし、その上で、特に「イスラム国」について「従来のテロ組織とは異なり潤沢な資金や強力かつ洗練された軍事力を有する組織が出現し、インターネットやソーシャル・メディアなどを組織のプロパガンダのために有効に活用するなどして、自らの過激思想を伝播させ、世界各地において多数の同調者や新たな構成員を獲得している」としている。

 より具体的には「第二章 国際社会の課題」の中の「第一節 地域紛争・国際テロリズムなどの動向」で、中東―アラブ諸国について「経済・社会格差や高い失業率に対する、若年層を中心とする国民の不満があるとみられる」とし、加えて「欧米などの先進国においても、社会からの疎外感、差別、貧困、格差などの不満などを背景として…国際テロ組織の過激思想に共感を抱く若者が増えており、それらが戦闘員などとして国際テロ組織の活動に参加」と分析している。さらに中東―アラブ諸国の情勢をとりあげた項の中の「シリア・イラク情勢」でも、「イスラム国」について「従来のテロ組織と異なり、潤沢な資金や強力かつ洗練された軍事力、整備された組織機構を有する点が特徴」と強調している。

 日帝自身が「社会からの疎外感、差別、貧困、格差などの不満」を不断に生み出す帝国主義世界支配の一角を成していることを自覚するがゆえに、「イスラム国」などの武装勢力による「テロ活動の標的」となっていることを強調し、「軍事的な手段のほか、テロ組織の資金源の遮断やテロ戦闘員の国際的移動の防止など国際社会全体としての取り組み」が必要だとしている。こうして「イスラム国」をダシにした治安管理強化が進行しようとしているのだ。

 この他、「第二章 国際社会の課題」では、「第二節 大量破壊兵器の移転・拡散」「第三節 海洋をめぐる動向」「第四節 宇宙空間と安全保障」「第五節 サイバー空間をめぐる動向」「第六節 軍事科学技術と防衛生産・技術基盤をめぐる動向」の節を設け、「NBC兵器の拡散」「サイバー攻撃」などの「脅威」を事細かく取り上げている。自衛隊にとって見れば、これらすべては「だから自衛隊強化が必要」と戦時体制形成を結論づけようとするためのネタなのである。

加速する日米安保強化

 「防衛白書」の「第局 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟」では、前記の情勢提起をも受けつつ、いかに自衛隊を強化していくかを強調するものとなっている。

 「第一章 わが国の安全保障と防衛の基本的考え方」では、自衛隊の立ち位置を強調している。まず「第一節 わが国の安全保障を確保する方策」で「防衛力は、侵略を排除する国家の意思と能力を表す安全保障の最終的担保であり、ほかのいかなる手段によっても代替できない」として、自衛隊の存在を正当化する。また、「第二節 憲法と防衛政策の基本」で、憲法九条との兼ね合いについて「わが国は、憲法のもと、専守防衛をわが国の防衛の基本的な方針として実力組織としての自衛隊を保持」してきたとする。一応表看板には「基本政策」として「専守防衛」「軍事大国とならないこと」「非核三原則」「文民統制の確保」を掲げ続けているが、これらはすべて、自衛隊増強の牘れ蓑瓩任靴ないということだ。そして、「第三節 平和安全法制などの整備」で、国会に提出した「安保法制関連法」の概要を掲載している。10本の法案を一まとめにした「平和安全法制整備法」(=「集団的自衛権行使」関連法を含む)と、「国際平和支援法」(=「自衛隊派兵恒久法」)を紹介している。

 「第二章 国家安全保障戦略と防衛計画の大綱など」では、「国家安全保障戦略」、「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」の概要を示している。「防衛装備移転三原則」についても一項を作って紹介し「同盟国たる米国およびそれ以外の諸国との防衛装備・技術協力をより積極的に進めていくこと」なぞとしている。具体的には、すでにオーストラリアとの潜水艦プログラムに関する協力や、英帝との空対空ミサイルの共同研究など諸外国との防衛装備・技術協力を推進している。武器輸出を拡大し、「死の商人」たらんとしているのだ。

 「第三章 日米同盟の強化」で、今年4月27日に、日・米帝が再改定した上で締結した「日米防衛協力のための指針」(「ガイドライン」)について紹介して、「集団的自衛権行使」による「日米同盟」強化の狙いをあけすけにしている。日米安保について「日米安保条約に基づく日米安保体制は、わが国自身の努力とあいまってわが国の安全保障の基軸である」と改めて定義し、「米軍のプレゼンスは、わが国の防衛に寄与するのみならず、アジア太平洋地域における不測の事態の発生に対する抑止力および対処力として機能」としている。日米安保の下、米軍が在沖―在日米軍基地を足場に、アジア・中東における数々の反革命戦争に手を染め、全世界労働者人民を虐殺していった歴史を絶賛しているのだ。ここで注目すべきは、「第三章 日米同盟の強化」の「第二節 ガイドライン見直しの概要」の中で、「米国は、引き続き、核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供」「アジア太平洋地域に即応態勢にある戦力を前方展開するとともに、戦力を迅速に増強する能力を維持する」なぞとあえて強調していることである。「日米同盟」が「核の傘」を前提にしていることをあけすけにしているのである。この「第二節」の中で「日本の行動および活動は、専守防衛、非核三原則などの日本の基本的な方針に従って行われる」なぞと並列して書かれているが、これらはすべてギマンに過ぎないということである。だからこそ「実効的な二国間協力のため、平時から緊急事態まで、両政府が緊密な協議ならびに政策面および運用面の的確な調整を行うことが必要となる。このため、両政府は、新たな、平時から利用可能な同盟調整メカニズムを設置し、運用面の調整を強化し、共同計画の策定を強化する」と明記して、戦時体制形成を進めていくことを明言しているのである。

 「第四章 防衛省改革」では、文民統制の実質的な廃止について記述されている。「文官と自衛官の一体感を醸成する」なる名目の下、「自衛隊の運用に関する意思決定について、的確性を確保したうえで、より迅速なものとなるよう、実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化すべく、組織の見直しなどを実施する」とし、「政策立案機能の強化」「情報発信機能強化」を掲げている。そして、今年度における具体的な取り組みとして「実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化することに伴い、運用企画局を廃止するとともに、同局の機能のうち、運用に関する法令の企画・立案機能などは、防衛政策局に移管する」としている。さらに、「装備取得関連部門(内部部局、各幕僚監部、技術研究本部、装備施設本部)を集約・統合した外局として『防衛装備庁』を新設」とうちだした。こうして、自衛隊「制服組」の発言力を増大させようというのである。

進行する戦時体制形成

 防衛省は、自衛隊強化をさらに進める姿勢を明確にするために、「第敬堯々駝韻寮弧拭財産と領土・領海・領空を守り抜くための取り組み」で、大々的に自衛隊の取り組みを紹介している。

 「第一章 統合機動防衛力の構築に向けて」では、「第一節 実効的な抑止および対処」の中で、特に「周辺海空域における安全確保」「島嶼部に対する攻撃への対応」に力点を置いた記述をしており、「2012年9月のわが国政府による『尖閣諸島』の所有権の取得以降、中国公船が『尖閣諸島』周辺のわが国領海へ断続的に侵入するなど、近年、わが国周辺海域においても、中国の海軍艦艇や公船などの活動が急速に拡大・活発化している」として、中国の船舶や戦闘機の接近を念頭に入れた「防衛力」強化をうち出している。特に、「空自機による緊急発進(スクランブル)回数は、前年度と比べて133回の大幅な増加となる943回」とし、1958年の「航空自衛隊の対領空侵犯措置の開始」以来、「過去二番目に多い回数」とし、2013年11月の中国による「東シナ海防空識別区」設定後も、自衛隊は「従前どおりの警戒監視」などを実施するとともに、「引き続き厳正な対領空侵犯措置を行なう」という。「島嶼部に対する攻撃への対応」の項では、「陸自は与那国島に沿岸監視部隊を新編し、南西地域の島嶼部に初動を担任する警備部隊を配置するとともに、本格的な水陸両用作戦機能を備えた『水陸機動団(仮称)』を新編する」「空自は、那覇基地に戦闘機二個飛行隊を配置するとともに、第九航空団を新編する」とし、自衛隊の南西諸島配備強化を鮮明にした。さらに、「部隊の迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保するため、おおすみ型輸送艦の改修、多機能艦艇の在り方を検討するための海外調査やオスプレイの導入により、機動展開能力の向上を図っていく」とうちだしている。オスプレイの配備を進めるために「佐賀空港を最適の飛行場と判断した」と明記し、佐賀空港へのオスプレイ配備策動を鮮明にしている。また、「ゲリラや特殊部隊などによる攻撃への対応」の項では「武装工作員などへの対処」として、「警察機関との連携が重要であり、治安出動に関しては自衛隊と警察との連携要領についての基本協定や陸自の師団などと全都道府県警察との間での現地協定などを締結している」とした上で「陸自は各都道府県警察との間で、全国各地で共同実動訓練を継続して行なっており、2012年以降は各地の原子力発電所の敷地においても実施するなど、連携の強化を図っている」「海自と海上保安庁との間でも、継続して不審船対処にかかる共同訓練を実施している」としている。「ゲリラ対策」の名の下、2011年「福島第1原発事故」以降沸き上がる反原発闘争や、沖縄・名護新基地建設阻止闘争の爆発に身構え、警察や海上保安庁との連携強化を鮮明にしているのである。次に、「第二節」として、2015年度の「防衛力整備」の全容を掲載している。「統合機動防衛力の構築に向け、防衛力整備を着実に行なう」として「統合機能の更なる充実」「警戒監視能力、情報機能、輸送能力および指揮統制・情報通信能力のほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間およびサイバー空間における対応、大規模災害などへの対応ならびに国際平和協力活動などへの対応を重視する」としている。そして、「防衛費」の総額について、「前年度と比べて953億円増額の4兆9801億円」と大幅な増額をうちだしているのだ。

 さらに、「第二章 防衛装備品に関する諸施策」では、「防衛装備・技術協力」の一例として、次期戦闘機であるF―35Aの日米共同開発を掲げている。「機体およびエンジンの最終組立・検査や、エンジン部品、レーダー部品および赤外線探知装置部品の製造参画を決定するなど、着実に製造参画の範囲を拡大させている」と、日米「共同開発」の実績の積み上げを自画自賛しているのだ。

労働者人民の戦争動員を許すな

 「第三章 安全保障協力の積極的な推進」では、「対話から協力へ」なるスローガンを前面に押し出しながら、東南アジア諸国やオーストラリア、韓国などとの連携強化をうちだしている。特に、オーストラリアについて多くの文量を割き、自衛隊・米軍との共同作戦遂行をみすえた軍事演習の強化を鮮明にしている。

 「第四章 地域社会・国民とのかかわり」では、自衛隊の宣撫工作強化をうちだしている。特に、「隊内生活体験」について、「防衛省・自衛隊は、自衛隊生活体験ツアーや隊内生活体験を行なっている。これらは、自衛隊の生活や訓練を体験するとともに、隊員とじかに接することにより、自衛隊に対する理解を促進するものである。2014年度は自衛隊生活体験ツアーに約150人が参加した。また、隊内生活体験には、企業などから約1500件の依頼があり、約2万4000人が参加した」なぞとその「成果」を強調している。

 そして、「コラム」の中では、「いざというときに活躍する『自衛隊員』たち」なるタイトルを掲げ、予備自衛官制度を自画自賛している。「いざというときに活躍する予備自衛官の制度は、予備自衛官本人のみならず、雇用企業など周囲の方々の理解と協力に支えられている制度である。予備自衛官を雇用している事業所との連携・協力を図る」として、今年度から「『予備自衛官等協力事業所表示制度』の導入を予定している」とうちだしている。自衛隊と企業との連携強化を進めることで、労働者の戦争動員をさらに加速しようとしているのだ。

 「防衛白書」の中で、「少子化」の進む中での自衛隊の人員確保が厳しい状況にあることを記述しているが、加えて、安倍政府による「集団的自衛権行使」の進行の中で、今後自衛隊志願者が激減することが予想されるのであり、安倍政府は「徴兵制導入」をも見すえながら、労働者人民の戦争動員をさらに進めようとするであろう。

 大学研究機関との連携については、先述した「第三部」の「第二章 防衛装備品に関する諸施策」の中で取り上げられている。「第二章 防衛装備品に関する諸施策」の「第三節 研究開発」の「国内機関との技術協力」の項の中で、「技術研究本部と独立行政法人や大学などの研究機関との間で研究協力や技術情報の交換などを積極的に実施している」として、2015年度から「防衛装備品への適用面から着目される大学、独立行政法人の研究機関や企業などにおける独創的な研究を発掘し、将来有望である芽出し研究を育成するため、防衛省独自のファンディング(資金調達)制度である安全保障技術研究推進制度(競争的資金)を新設した」としているのである。全国大学で革命的学生運動解体攻撃が激化して久しいが、その末に待っているものは、こうした全国大学と自衛隊との連携強化に他ならない。東京大学当局が、2014年12月に、「軍事研究解禁」を打ち出したり、国公立大学での「日の丸」「君が代」強制が強化されるなど、文字通りの狒換餝惘爐諒識腸臭瓩一挙に進行しようとしているのだ。

◇  ◇  ◇

 2015年版「防衛白書」発表後、中国政府や韓国政府から抗議声明が出されるほどに、日帝の突出する朝鮮反革命戦争突撃に対する、労働者人民の怒りが広がっている。2015年版「防衛白書」は、日帝の歴史を画する凶暴化と、これを動力とする安倍政府の暴走のすさまじさを如実に示している。とりわけ、「安保法制関連法」をめぐって労働者人民の広範な怒りが広がるなか、自民党若手議員らの集まり「文化芸術懇話会」で安倍政府の戦争政策に批判的なマスコミへの統制強化が語られたり、首相補佐官・磯崎が「法的安定性は関係ない」なぞと暴言が吐くなど、安倍政府の強硬姿勢がより鮮明になっている。内閣支持率がどんなに下がろうとも、憲法学者の多くが「違憲」と異議を唱えようとも、安倍政府は、何としても「安保法制関連法」を成立させようとしているのである。

 一方、沖縄・名護新基地建設については、「沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)合意を守る」「沖縄の負担軽減を図る」などとして「普天間移設」の「利点」を「防衛白書」で強調するばかりである。正面切って沖縄・名護新基地建設の「意義」をアピールできないのである。闘う沖縄労働者人民の体を張った実力決起の前に、安倍政府が動揺を深めているのは間違いない。さらなる実力・武装の闘いの爆発で、沖縄・名護新基地建設を阻止しなければならない。

 議会内既成勢力の尻押し運動に終始するだけでは、安倍政府の強攻撃を打ち破ることはできない。今こそ実力・武装の闘いを爆発させなければならない。反革命翼賛国会を粉砕し、「安保法制関連法」成立を阻止しよう。「防衛白書」に示された、安倍政府の一挙的な戦時体制形成を粉砕しよう。戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。