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12・18法相・岩城による、「裁判員制度」の下での初の
死刑執行を弾劾する
(1168号6面)

死刑執行を徹底弾劾する

 2015年12月18日、法相・岩城光英の死刑執行命令により、2人の死刑囚の死刑執行が強行された。東京拘置所に収監されていた津田寿美年死刑囚63歳)と、仙台拘置支所に収監されていた若林一行死刑囚(39歳)が、国家権力の手によって虐殺されたのである。前回の2015年6月の死刑執行以来、約6ヵ月での執行となった。岩城は、死刑執行について「いずれの事件も裁判所において十分な審理をしたうえで最終的に死刑が確定したものだ。以上のような事実を踏まえ、慎重な検討を加えたうえで、死刑の執行を命令したしだいだ」と言い放っている。

 岩城が2015年10月の内閣改造によって法相に就任してからは初の執行であるが、2012年12月に安倍極右政府が発足して以来の死刑執行は、ついに8度目を数え、執行者数は14人となった。2006年の第1次安倍政府時の10人と合わせると、通算24人にもなる。安倍政府の死刑執行の突出ぶりが、いよいよ際立っている。今回の死刑執行によって、全国の拘置所に収監されている死刑囚は、126人(再審開始決定により釈放された袴田厳氏を除く)となった。

 日帝・法務省は、死刑執行にあたり今回も死刑囚の名前と犯罪事実、執行場所を公表した。「騒音トラブルから隣人3人を殺害」「強盗殺人を犯し、反省の態度もない」などと、ブルジョアマスコミを使って犯罪事実を大々的に宣伝することで、死刑囚が「凶悪な人格」であることを印象づけている。このことで、「これだけ凶悪な人間ならば、死刑で当然」ということをアピールし、「死刑推進の世論」を形成しようという、もはや定番となったやり方である。法務省は、今回もまた、死刑執行に対して都合の悪い情報は伏せたまま、ただただ「死刑執行支持の世論」を作り、死刑反対運動を圧殺することを目的に「情報公開」を行なったのである。

 今回死刑執行された津田死刑囚は、2011年6月に横浜地裁で死刑判決を受けた。その後、控訴を取り下げ、死刑判決が確定していたが、いかにも拙速の感はぬぐえない。若林死刑囚は、1審の盛岡地裁で死刑判決を受けた後、仙台高裁での2審以降、無実を主張していた。しかし、2審や上告審でも判決は覆ることはなく、2013年に死刑が確定した。若林死刑囚は、獄中での処遇改善を要求し、しばしば国倍訴訟を起こしていた。

 安倍政府は、とにかく切れ目ない死刑執行の犲太哭瓩鮑遒襪海箸如∈8紊了犒瑳更圓瞭散攤遒蠅北起となっているのだ。そのような意図に基づく死刑執行を、断じて許すことはできない。
 法相・岩城による12・18死刑執行を徹底弾劾する。

「裁判員制度」を粉砕せよ

 今回、特筆すべきは、今回の死刑執行が、「裁判員制度」によって死刑判決がうちおろされた死刑囚に対して初めてなされたものであるということである。2011年6月、1審の横浜地裁での「裁判員制度」下の公判で、津田死刑囚に死刑判決をうちおろしているが、津田死刑囚の控訴取り下げによってこの判決が確定判決となっていたものである。なお、横浜地裁の公判では、「被害者参加制度」に基づき、被害者の「遺族」の代理人弁護士が「反省の形跡がなく、公判前よりも強く極刑を望んでいる」とする「求刑意見」を読み上げている。

 最高裁によると、「裁判員裁判」では、2015年12月17日までに26人に死刑判決が言い渡され、このうち、七人の死刑が確定している。

 「裁判員制度」は、労働者人民の中から無作為に「裁判員」として選ばれた者が、重大な事件の公判に参加させられる制度であり、2011年5月以降、実際の公判での運用が開始された。われわれは、かねてから、「裁判員制度」が治安管理強化を加速させる狎擇蟷キ瓩琉譴弔任△襪海箸鯔熟してきた。「裁判員制度」導入をテコにして、現場の法廷では、裁判の迅速化などの諸制度改悪が進められてきた。「公判前整理手続き」などで裁判の迅速化が進めば被告や弁護士の負担が増え、公判で被告側が不利になることが、明白であることや、「被害者参加制度」の導入が、「遺族」「犯罪被害者」が裁判に加わって感情に訴えて法廷で証言することで、死刑判決を煽りたてるものであることを指摘してきた。そして、「裁判員」は、圧倒的な検察側の情報の洪水にまみれながら、短期間のうちに、死刑判決に参加しなければならず、いわば「裁判員」に指名された者が死刑判決に強制的に参加させられる制度であることを明らかにしてきた。そんなわれわれの指摘が、ついに現実のものとなったのである。

 法相・岩城は、「裁判員制度」下での死刑執行について「死刑執行に関しては、それが裁判員裁判により判決が言い渡された事案であるか否かにかかわらず、個々の事案につき関係記録を十分に精査し、刑の執行停止、再審事由の有無等について慎重に検討し、それらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしており、今回も同様の慎重な検討を経て、死刑執行命令を発したものだ」としている。

 しかし、法相・岩城の強弁とは裏腹に、死刑の判断に関わった「裁判員」の中に、死刑判決の後も悩み続け、「執行してほしくない」という思いを抱えている人もいる。そんな「裁判員」の経験者の中から、「裁判員が死刑という究極の判断を求められる一方、死刑執行に関する情報が明らかになっていない」という声が上がっている。2014年2月、「裁判員」経験者20人は、法相・谷垣(当時)あてに「要望書」を提出し、「死刑の執行を停止したうえで積極的な情報公開を行ない、国民の議論を促す」ことを要求した。しかし、今日に至るまで、法務省からの回答はない。法務省は、労働者人民の間から噴出する、「裁判員制度」下での死刑執行への広範な疑問の声を、傲慢に握りつぶしたのである。こうして、法相・岩城は、今回の死刑執行によって、今後の「裁判員制度」下での死刑執行のさらなる加速に道を拓いたのであり、断じて許すことはできない。「裁判員制度」そのものを、労働者人民の闘いで粉砕しなければならない。

 近年、判決の厳罰化がより加速し、死刑判決が増加している。安倍政府の進める治安管理強化の狎擇蟷キ瓩箸靴董∋犒裟度が存在しているのである。

 安倍政府が振りかざす「死刑執行を望む世論」なるものは、重要な情報を国家権力のごく一握りの人間が握り、「世論」を都合よく誘導した末に作られたものに過ぎない。そんな虚構なぞ、袴田巌氏に48年間の超長期の勾留を強制した「袴田事件」をはじめとした、数々の冤罪事件が表面化するなかで、既に崩れ去っている。警察権力が無実の労働者人民を不当逮捕してウソの「自白」を強制し、「物的証拠」を平気で捏造し、司法権力が追認して労働者人民を監獄に叩き込んでいく横暴ぶりが次々に暴露されているのだ。

治安管理強化を許すな

 世界の趨勢を見れば、死刑制度は廃止の方向にある。2014年の段階で、死刑廃止国は140ヵ国であり、死刑存置国は58ヵ国となっている。実際に死刑を執行した国は、日帝を含め22ヵ国に過ぎない。しかも、2015年には、フィジー、マダガスカル、スリナムの3ヵ国が死刑を廃止した。さらに、モンゴルも、2015年12月に、死刑を廃止する新刑法を制定し、2016年9月に施行されることになっている。一方で、エジプトやサウジアラビアなど、強権支配と戦時国家体制形成が加速する反動諸国で、軒並み死刑執行が乱発されている。このことを見ても、死刑制度が支配者どもを利するものであり、死刑制度廃止こそが労働者人民の要求であることは明らかである。

 しかし、戦時国家体制形成を急ぐ安倍政府は、こうした世界の趨勢も、まったく意に介することもない。安倍政府は、いよいよ、その傲慢ぶりを全面化させながら、迫り来る朝鮮反革命戦争突入をみすえ、治安管理強化をさらに進めている。

 死刑制度そのものが、戦時国家体制形成の一環としての攻撃であることを見逃してはならない。安倍政府は、死刑制度を堅持することで、かつての治安維持法弾圧のように、戦争に反対する者や勢力を極刑によって爐澆擦靴甅瓩箸靴撞垰Δ掘△△襪い六犒瑳更圓鰈喝することで組織壊滅型弾圧を加速させようとしているのだ。日帝国家権力は、東アジア反日武装戦線や連合赤軍の死刑執行にも踏み込もうとしている。

 安倍政府による死刑制度存続なぞ、断じて許してはならない。

 安倍政府は、治安管理強化のための弾圧立法制定を急いでいる。2015年3月、安倍政府は、他人の罪を証言すれば見返りを得られる「証言買収型司法取引」の導入や、警察による盗聴範囲の拡大と要件緩和を柱とした、「刑事訴訟法」等改悪案を閣議決定している。そして、その「刑事訴訟法」等改悪を、1月4日に開会した今通常国会で強行しようとしている。さらに、「共謀罪」新設についても、2015年11月13日の仏帝足下で起きた「イスラム国」による武装襲撃事件を口実に、一挙に制定の方向に動いており、参院選勝利をあてこみ、いよいよ「緊急事態条項」導入のための改憲に動き出そうとしている。明確に、戦時国家体制形成を見すえた、安倍政府の治安管理強化を絶対に許してはならない。

 「刑事訴訟法」等改悪の容認を表明した日本弁護士連合会(日弁連)執行部の屈服ぶりに対し、良心的弁護士をはじめ、多くの労働者人民からの反対意見が噴出している。総翼賛化する既成勢力を踏みしだき、反革命国会を粉砕し、弾圧立法制定を阻止しよう。安倍政府による治安管理体制強化を粉砕しよう。戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。