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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

世界大恐慌爆発情勢下の世界の労働運動(1252号5面)

 資本主義世界経済は、世界大恐慌爆発にむかうバブルの発生を繰り返している。資本は、解雇、賃下げ、「非正規雇用」の拡大、社会保障削減によって収益を手にしても、次の資本投下先がない状況に直面している。バブルは、「投機金融資本主義」の段階に至った資本主義世界経済の犹爐龍賁絖瓩砲曚ならない。

 「資本主義的生産様式の変革と階級支配の廃絶」に向けて、労働運動の一挙的な前進が求められている。世界の労働運動は、資本の延命策である「労働市場改革」―「規制緩和」攻撃を粉砕するストライキ決起―街頭制圧闘争を闘いぬいている。

 日本労働運動も遅れをとることなく、全国労働組合運動交流会(全労交)の飛躍を何としても実現し、階級的革命的全国統一センターの建設を推進しなければならない。
 そのために、2017年の世界の労働運動に注目していく。

ギリシャ

 ギリシャの労働者は、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)からなる「トロイカ」による「緊縮財政政策」の遂行要求に際限なく屈服する「急進左派連合」(SYRIZA)出身の首相・チプラスと対決し、解雇、賃下げ、年金カット、民営化などの攻撃を粉砕するストライキを闘いぬいている。

 ギリシャは、「国内総生産(GDP)」比約180パーセントの債務を抱えている。2009年に隠蔽していた巨額の債務が発覚して以降、「トロイカ」が強制する「緊縮財政政策」によって、ギリシャ労働者人民は、「ゴミ箱をあさる」ような生活苦を強いられてきた。7年間にわたるECBからの金融支援は2700億ユーロ(約36兆円)に及んでいる。現在行なわれている第3次金融支援(860億ユーロ)は、2018年8月に期限を迎える。

 5月18日には、ギリシャ議会が、年金削減や個人所得税の課税対象拡大を内容とする「改革案」を成立させた。7月に期限を迎える75億ユーロの債務返済に当てる資金を、ECBから確保するためだ。これに対して、ギリシャ最大の公務員労組である「ギリシャ公務員連合」(ADEDY)と民間部門の最大労組である「ギリシャ労働総同盟」(GSEE)は、EU首脳会議の開催に照準をあわせ、6月初旬の24時間ストに続いて、6月24日に再び24時間ストを闘った。アテネでは、数百人の清掃労働者が10日間に及ぶストライキを闘った。これは、ギリシャの裁判所が、短期の「契約労働者」の契約延長を禁止することを決定し、およそ1万人の清掃労働者が失業の危機に直面しているからだ。清掃労働者は、ストと同時に国会前での行動を闘っている。

 7月25日、ギリシャ政府は、3年ぶりに国債発行を再開した。5年債で30億ユーロ(約3900億円)を発行した財務相・チャカロトスは、現行の第3次金融支援が期限切れを迎える来年8月までに複数回の追加発行を目指す考えを示している。首相・チプラスは、7月の債務返済資金をECBから確保し、3年ぶりの国債発行の再開、金融支援から離脱していたIMFの支援への復帰などを「成果」として押し出し、「2017年の成長率は2パーセント近くになるだろう。現行の21・7パーセントの失業率は、20パーセント未満に低下する」という見通しを示した。

 9月7日には、仏大統領・マクロンが、仏石油大手・「トタル」の経営トップなど40人を引き連れてギリシャを訪問している。「債務危機から脱却しつつある」とされるギリシャを市場として、収益をあげようという魂胆だ。

 首相・チプラスは、11月13日のテレビ演説で、「緊縮財政政策」で生活が困窮している年金生活者などを支援するため総額14億ユーロ(約1900億円)を拠出すると発表した。チプラスは、「2017年の基礎的財政収支の黒字目標を達成したため、支援金の拠出が可能になった」と説明している。支援の内容は、12月半ばまでに約7億2000万ユーロ(約965億円)を所得水準や世帯規模に応じて非課税の一時金として全人口1075万人のうち340万人の国民に支給、これとは別に3億1500万ユーロを年金生活者に支給、電気料金引き上げを防ぐために国内電力最大手・「PPC」に3億6000万ユーロを支給するとしている。この「支援金」は、「緊縮財政政策」と対決して闘うギリシャ労働者人民を懐柔するためであることは明らかだ。

 「支援金」=懐柔策によってギリシャ労働者人民の「トロイカ打倒」をかかげた闘いが鎮圧できるなぞというチプラスの思惑は、現実の闘いによって粉々に粉砕されるだろう。

フランス

 フランスでは、今年5月に大統領に就任したマクロン(前経財相)による「労働市場改革」攻撃と対決するフランス労働者の闘いが、繰り広げられている。

 フランス政府は、2013年に、「労働市場の柔軟化と雇用の安定化を図る法律」を公布し、従業員の取締役会参画の義務化、集団解雇の手続き簡素化などを進め、2015年には、オランド政権が、解雇手続きの簡略化や長時間労働を容認する「経済の成長と活性のための法律案(通称「マクロン法」)を強行成立させた。2016年には、労働組合との労働協約よりも就業規則を法律上優位に置くという内容の労働法制改悪(通称「エル・コムリ法」)を強行成立させた。これらの労働法制改悪につづき、大統領に就任したマクロンは、「(1)企業レベルで労使合意できる項目を増やす、(2)労働組合の統合、(3)不当解雇の際に企業が支払う賠償金額に上限を設ける、(4)失業保険制度の改悪」を内容とする労働法制改悪を打ち出した。解雇時に企業が支払う罰金については、就業期間が2年の場合、給与3ヵ月分などと上限を設けている。

 マクロンは、8月31日に、この労働法制改悪案を公表した。これに対して「フランス労働総同盟」(CGT)は、「これは政府からの宣戦布告だ」と、9月12日のストライキを呼びかけた。ストライキは、全国4000ヵ所で闘われ、180の町でデモ、40万人が参加した。この闘いには、「統一労組連盟」(FSU)「フランス全学連」(UNEF)も合流した。このフランス全土での闘いから逃れるように、マクロンは、「オルドナンス」という立法手続きを使って、9月23日に、労働法制改悪を公布し、即日発効させている。「オルドナンス」とは、政府の委任立法権限に基づく法規のこと。憲法第38条に「綱領実施のため一定の期間に限り、政府は、通常は法律の分野における措置をオルドナンスにより定めることの承認を国会に対し求めることができる」と規定されており、政府は、「オルドナンス」の概要を定めた「授権法案」を国会に提出し、可決された場合、政府は、「オルドナンス」の形式により法律を制定することができるとされる。労働法制改悪に係る「授権法」は、8月2日に、成立していた。

 10月10日には、マクロンが計画している公的部門の賃金凍結や人員削減攻撃と対決するデモが、フランス全土で闘われ、公務員労働者を先頭にしてパリやリヨン、ストラスブール、ニースなどで20万人が決起した。公務員労働者540万人が加盟する九つの労働組合は、マクロンが目論む公的部門の削減攻撃に対してストライキで対決することを呼びかけた。CGTは、「この日の闘いには政府発表の2倍の参加者が起ち上がり、過去10年で最大のデモだった」と発表している。

 就任から100日以上が経過したマクロンに対する支持率は、5月の62パーセントから8月には36パーセントへと26ポイントも急落している。支持率が最終的に4パーセントまで下がり、「ミスター4パーセント」と皮肉られたオランドでさえ、最初の100日間は61パーセントから46パーセントへの15ポイントの低下だった。「労働市場改革」攻撃を強行するマクロンの支持率下落は、オランドを上回っている。フランス労働者の「労働市場改革」攻撃を粉砕する闘いは、マクロン打倒の闘いと一つのものとして闘いぬかれている。

ドイツ

 ドイツでは、4月、「金属産業労組(IGメタル)」が、アメリカの電気自動車(EV)メーカー・「テスラ・モーターズ」が買収した「グローマン・エンジニアリング」にストライキ通告を行ない、700人以上の労働者の雇用の確保、賃上げ、ストックオプションの付与などをかちとっている。「IGメタル」は、2018年の経営者側との交渉について、金属・電気産業の労働者390万人の6パーセント賃上げと時短の権利を求めるいう方針を発表した。

 7月6日には、ハンブルクで、1万2000人以上の労働者が「主要20ヵ国・地域」首脳会議(G20サミット)粉砕のデモに起ち上がっている。「地獄にようこそ」というプラカードを掲げたデモ隊からは、警官隊に対して発煙筒が投げられ、警官隊は、放水銃や唐辛子スプレーを使ってデモ隊を規制した。警察は、少なくとも警官76人が負傷したと発表し、デモ主催者側は、50人以上が拘束されたと発表している。

 さらに、ネット通販最大手・「アマゾン」の時間外労働による違法就労と産業別労働協約より低い賃金をめぐって、「感謝祭」と大型セールイベントの「ブラックフライデー」と呼ばれる11月24日、ドイツ最大の労働組合・「統一サービス産業労働組合(ベルディ)」が国内で稼働する6ヵ所の配送センターでストライキを闘った。クリスマスまでの1ヵ月間の年末商戦で小売業が黒字になることから「ブラック」と呼ばれる11月24日に照準を合わせてストライキは闘われたのだ。「アマゾン」に対しては、2013年の年末商戦の時期にも「アマゾンは、低賃金と短期契約のブラック企業だ」として大規模なストライキが闘われている。ドイツの現場労働者の賃金は、産業別の労働協約を適用することで等級によって業界内で一定の水準が決められ、最低賃金の役割を果たしている。「ベルディ」によれば、「アマゾン」が労働者に支払っている賃金は、ドイツ国内で通信販売小売業として労働協約を結んでいる他の労働者の賃金を下回っているという。これに対して、「アマゾン」は、「配送センターは、通信販売小売業ではなく物流倉庫業の賃金が適用され、それに沿って支払っている」と主張し、居直っている。「アマゾン」の配送センターで働く労働者は、大量の注文をさばくために、精神的にも肉体的にも疲弊を強いられている。1時間に最大300個の商品の処理が達成できるように「30秒で1商品」のノルマが課せられ、広大な配送センターで注文の商品をピッキングするために走り回らされ、配送センター内に設置された監視カメラで常時監視されている。労働者たちは、「ノルマを達成できないとクビもあり得る。過労とプレッシャーのため救急車で搬送された人もいる」と「アマゾン」の殺人的な労働を告発している。11月24日のストライキは、イタリアの「アマゾン」配送センターでも闘われている。

イギリス

 イギリス政府が五月末に公表した労働組合の組織状況に関する統計によれば、2016年の労働組合員数は、前年から27万5000人減少して621万6000人となり、組織率は1・2パーセント減の23・5パーセントになっている。調査開始以降で最大となる減少は、政府の「緊縮財政政策」によって、教育現場での人員削減や「非正規雇用」労働者の増加が影響しているとみられる。労働争議の参加者数や損失日数も低い水準で推移する中、イギリス政府は、昨年成立した「労働組合法」に基づき、3月から、労働組合に対するさらなる規制を強行している。

 イギリス政府が3月から開始した労働組合への規制強化は、第1に、ストライキについて、「.好肇薀ぅの実施手続きについて、組合員による投票率が50パーセント以上であることを投票成立の要件とし、これを下回る場合、ストライキの実施は違法となり、雇用主はストライキによって生じた損失を労働組合に請求することができる。医療、教育、消防、交通、入国管理といった重要性の高い公共サービス部門については、組合員全体の4割相当の賛成を義務付ける。E衂爾砲詫効期限を設け、ストライキ等を実施しないまま6ヵ月(雇用主の合意がある場合は9ヵ月)を経た場合は、改めて投票を実施しなければならない。せ藩兌埖Δ帽圓覆Ε好肇薀ぅの事前通告の時期を、従来の7日前から14日前に拡大する。ゥ團吋奪謄ングの実施に際しては、代表者を決めて警察当局に連絡先などを登録することを義務付ける」という内容になっている。第2に、「組合費のうち、政党への献金や、組合・非営利団体等の政治的な活動などの財源となる『政治基金』に関して、組合員の合意の義務化」、第3に、「公共部門における組合費のチェック・オフについて、実施にかかる費用を労組負担とする」という規制強化も強行されている。さらに、イギリス政府は、今後の「労働組合法」改悪によって、ストライキ中の人員不足を派遣労働者により充足することを認める制度の創設も狙っている。

 このようなイギリス政府の労組破壊、ストつぶしの攻撃が激化する中、イギリス労働者は、果敢にストライキを闘っている。一月九日には、「鉄道海運運輸労働組合」(RMT)と「運輸従業員組合」(TSSA)に所属する四〇〇〇人のロンドン地下鉄労働者が二四時間ストライキに突入した。ロンドン地下鉄の一一路線中八路線が一〇日の夕方まで停止した。労働組合は、「安全を守れ」をスローガンに「人員削減反対、切符窓口閉鎖反対、無人駅反対」などの要求を掲げてストライキを闘った。
 9月4日には、イギリスで初めてマクドナルドの労働者が、ストライキに突入した。「ベーカリー・食品労組連合」(BFAWU)によると、マクドナルドの労働者は、「時給10ポンド(約1400円)と『ゼロ時間契約』(就業時間が決まっておらず、会社側からの指示がある時だけ出勤する)の廃止、労働組合の承認」を要求してストライキを闘ったという。ストに起った労働者は、「ゼロ時間契約によって悪質な管理者は、私たちの勤務時間を大幅にカットできる。管理者に逆らったら4時間の就労が1時間にカットされる。ある友人は、5年間同じシフトで働いていたのに、管理者のいじめに抗議したとたんに週5日の就労を1日に減らされた」と、巨大資本・マクドナルドによる労働者使い捨てへの怒りを表明した。

アメリカ

 アメリカでは、2月1日に、連邦下院議会に「ナショナル・ライト・トゥ・ワーク法案」(NRW)が提出された。この法案は、労働組合と企業の団体交渉の手続きを規定する法律である「全国労働関係法」(NLRA)の改悪によって、「組合保障条項」と労働組合費を企業側が代行して徴収する、いわゆる、「チェックオフ」の禁止を目的にしている。この「NRW法案」は、アイオワ州連邦下院議員のスティーブ・キングとサウス・カロライナ州連邦下院議員のジョー・ウィルソンが提出した。キングは、2015年にも同様の法案を議会に提出している。その時は、128人の賛同者を得て、「教育・労働市場委員会」(EWC)で審議されたが、そのまま廃案となっていた。「組合保障条項」とは、労働組合に加入した労働者が労働組合の方針や規約に従わない場合、労働組合が企業に対して、その労働者の解雇を認めさせる項目を労働協約のなかに織り込むものである。この条項は、労働組合員を縛ることが目的ではなく、企業側が個々の労働者に企業側につくように働きかけることで労働組合の団結力を弱体化させることを防ぐことを目的にしてる。「チェックオフ」が禁止されれば、労働組合は、労働組合費を集めることが難しくなって財政基盤が弱体化するだけでなく、労働組合の交渉の成果である労働条件や社会保障の引き上げといった恩恵を「ただのり(フリーライド)」で手にする労働者の存在を許すことになる。つまり、「ライト・トゥ・ワーク」という名称は、「労働者の権利」という意味がありながら、その実態は、労働組合の弱体化をめざしたものである。NRWは、すでに各州で法制化が続いており、全米50州のうちで過半数を超える28州がいわゆる「NRW州」となっている。「NRW州」とそうでない州とでは労働組合の組織率に大きな差がみられるようになっており、「NRW法」は、平均で1・6パーセントほど低い。

 米帝・トランプは、NRWの拡大を大統領選挙の公約に掲げていた。トランプは、その理由を「労働組合が従業員の柔軟な働き方を阻害し、従業員による企業経営への関与などの点で大きく遅れる」としている。資本による搾取と隷属と対決して闘う労働組合運動をつぶし、労使運命共同体を作ろうとしているのだ。

 アメリカの労働組合の組織率は、1950年代半ばの35パーセントから2016年には10・7パーセントにまで低下している。民間企業の組織率は、6・4パーセントまで低下している。「アメリカ労働総同盟・産業別組合会議」(AFL・CIO)などの労働組合は、「NRW法案」に反対しているが、共和党が上院、下院議会で多数派を占める中、「NRW法成立」を公約に掲げるトランプの登場は、アメリカ労働運動の真価を問う局面に来ている。

 トランプの排外主義煽動に対して、アメリカの労働組合運動は、対決する姿勢を鮮明にしている。AFL・CIOは、2月15日付けで、「労働組合のメンバーは、トランプ政権による移民一斉検挙のターゲットとされている人々を防衛する」とする会長声明を出している。「国際サービス従業員組合」(SEIU)も3月16日付けで、「連邦議会は、トランプ大統領の『壁』建設と大量国外追放のための予算措置を拒否すべきだ」とする国際執行部副会長の談話を発表している。5月1日のメーデーでは、トランプの移民排撃攻撃に対して、全国で「移民ストライキ」が呼びかけられた。

ブラジル

 ブラジルでは、4月28日、大統領・テメルが推進する「年金改革」や「労働市場改革」攻撃に対決するゼネストが全土で闘われた。ブラジルでのゼネストは、1996年以来、31年ぶりだ。

 4月28日には、「中央統一労働組合」(CUT)をはじめとする主要労働組合がゼネストに突入した。ブラジル全土でバス運転手、医療労働者、石油産業労働者、公務員など3500万人がゼネストに入ったのだ。31年ぶりのゼネストでは、リオデジャネイロ、サンパウロなどの都市でデモ隊が主要道路にバリケードを築き、一部ではバスが放火された。テメルの私邸に向かおうとしたデモ隊は、警官隊と激突し、警官隊は、ゴム弾とスタングレネードで応じた。テメルは、ゼネストに対して「ストの自由を保障する」と言いつつ、「国内法の改革の議論を国会で続ける」として、「年金改革」や「労働市場改革」を強行する姿勢を示している。

 ブラジル政府が発表した失業率は、過去最高の13・7パーセントを記録し、1400万人以上が失業状態に置かれている。テメルは、「財政健全化」を打ち出し、年金受給開始年齢の引き上げなどに着手している。外資を呼び込むために臨時雇用契約の制限緩和など、労働法制の改悪も狙っている。

 昨年5月、大統領・ルセフに対する弾劾に伴って成立したテメル政権は、就任直後から労働者への攻撃を開始し、公共部門の予算を削減した。議会の多数派となり、内外の経営者団体の全面的支持を受け、煽動のためにメディアを活用し、労働党政権の下で労働者が獲得してきた成果を一掃することを目指してきた。また、農業開発省を廃止し、農地改革の対象地を民間企業に売却しようとしている。昨年10月の地方選挙で与党が大勝し、労働党が惨敗したことで、テメルの攻撃は勢いづいている。3月に成立した「派遣労働法」は、「派遣労働」を自由化し(対象職種の制限を撤廃)、一時雇用が認められる期間を9ヵ月に拡大し(従来は3ヵ月)、週40時間労働という制限を撤廃した。

 テメルが、昨年12月に、発表した「年金改革案」は、一連の攻撃の仕上げとなるものだ。当初案は、定年の65歳への引き上げ、公務員への特別措置の廃止等を含んでいる。ブラジルでは、平均的な退職年齢は55歳であり、一挙に10年の延長となる。影響を最も受ける貧困層や公務員だけでなく、若者の間でも怒りが広がっている。国会議員や官僚の法外な報酬には手を付けられていない。

 テメル政権の閣僚や与党議員の多くが多額の賄賂を受けていることが明らかになっており、政権の支持率は一桁に下がっている。ルセフ大統領の弾劾を支持した人々の多くが、今では、「テメルは、出て行け」と叫んでいる。労働党は、この中で、影響力の回復を目指しており、2018年の大統領選挙には元大統領・ルラが立候補を予定している。

 しかし、ルラ、ルセフの労働党政権も、今回と同様の年金改革を提案してきた。また、両政権は、議会の支持を得るために多くの進歩的政策を後退させたことで支持者を失望させてきた経緯がある。さらに、政府や議会の腐敗に手を付けてこなかったことで、大統領弾劾をめぐる右派の策動を許してしまった。テメルとの闘いの中で、ブラジル労働運動がこれまでのように労働党への政治的集約を突破して闘いぬくことが課題となっている。

インド

 3月10日、2012年7月に日帝資本・「スズキ自動車」がインドに進出してハリヤナ州マネサールに作った「マルチ・スズキ社」のマネサール工場で起きた暴動に対する、裁判の判決が下された。暴動に起ち上がった労働者のうち148人が起訴され、31人が有罪という不当な報復の判決であった。「被告」となった労働者のうち、13人は殺人罪、18人は暴動罪が適用されている。

 2017年、マネサール工場の労働者は、スズキ資本に対して労働組合の承認や「非正規雇用」労働者の労働条件をめぐって交渉していたが、決裂し、ストライキに突入した。ストライキは、暴動に発展し、94人の管理職と九人の警官が負傷、暴動で起きた火災によって人事部長が死亡するまでに拡大した。

 インド政府は、「Make in India」というスローガンをかかげて外国資本の導入を推進している。しかし、今回の判決が労組幹部を狙い撃ちにしていることに明らかなように、徹底した労働組合運動破壊と一体となった外資導入政策だ。

 この判決の直後には、「マルチ・スズキ社」のマネサール工場とハリヤナ州グルガオン工場で働く2万5000人以上の労働者が、工場が提供する昼食をボイコットし、抗議の意志を示した。3月15日には、ハリヤナ州とラジャスタン州の労働組合、「全インド労働組合会議」(AITUC)、「インド労働組合センター」(CITU)、「インド労働者連盟」(HMS)と「マルチ・スズキ社」の労働者を合わせた300人以上の労働者が判決を批判する集会を開催した。集会では、無罪となった労働者が再就職できるように求める新たな活動を開始することが決められた。「マルチ・スズキ社」の労働者約6000人は、「被告」として拘留が続いている労働者の家族のための募金活動を開始している。

 「新興市場国」として外資導入を進めるインドには、日帝資本が次々と進出している。その数は、2006年の267社から2016年には1305社へと、5倍近くに増え、その合計拠点数は4417ヵ所に達している。日帝資本が進出した国での労働組合運動破壊を許さない日帝足下労働者の国際連帯の闘いが求められている。

 インドでは、紅茶の産地として有名な西ベンガル州ダージリンで、6月から9月にかけて10万人の茶園労働者を先頭にして104日間のストライキが闘われた。ストに伴う抗議行動や暴動によって、住民約10人が死亡し、数百人が負傷した。約150の州政府の病院や図書館が放火され、発電所も停止し、商店は閉まり、学校も閉鎖された。

 このストライキは、ダージリンの地元住民であるゴルカ人が、西ベンガル州からの独立と「ゴルカランド州」の創設を求めて闘われた。数十年にわたって「ゴルカランド州創設」を要求し、今回のストライキを呼びかけた「ゴルカ人民解放戦線」(GJM)は、「ベンガル語を話す外部の人間がゴルカ人の資源を搾取し、ベンガル人の文化や言語を押し付けている」としている。今回のストライキのきっかけは、西ベンガル州政府が公用語であるベンガル語を小学校から高校までの教育で義務化すると発表したことにある。ダージリンでは、主にネパール語や英語が教えられている。言語の強制をきっかけに、大規模なストライキに発展したのである。

韓国

 朴槿恵打倒を闘いとった韓国労働者は、新たに大統領に就任した文在寅に対して「積弊清算」を迫る闘いを闘いぬいている。

 11月12日には、ソウル市庁広場で民主労総の組合員5万人が参加して「全国労働者大会」が開催された。参加した労働者は、「キャンドル1年、文在寅政府発足から6ヵ月が経ったが、労働者の暮らしは変わっていない」と、文在寅政府を強く糾弾した。民主労総は、「私の人生を変える民主労総」をスローガンとして、「△労働する権利および労働法改正、△韓国社会の各部門の積弊完全清算と社会大改革実現、△1987年労働者大闘争精神継承、△THAAD配置撤回および朝鮮半島の平和実現、△ハン・サンギュンおよび拘束労働者と良心犯釈放」などを要求した。民主労総のチェ・ジョンジン委員長職務代行は、大会発言で「政権退陣キャンドル抗争に起ち上がった主権者の熱望は、単純な政権交代ではなく、70年間の反労働積弊を清算し、世の中を変えようというのが要求であった」「政府は、『非正規職ゼロ時代』を宣言したが、例外ない常時・持続業務を正規職化していない。今すぐ政府の政策と意志があれば可能な労働積弊清算の5大要求にも、政府は、答えない」と文在寅を批判した。

 11月18日には、国会前で「民衆総決起闘争本部」などが主催する「積弊清算社会大改革反戦平和実現キャンドル憲法争奪のための汎国民大会」が開かれ、労働者、農民など1万2000人が参加した。集会では、「トランプ訪韓と韓米首脳会談で見られるように、対米屈辱、バラマキ外交で数十兆ウォンの武器押し売り、韓米自由貿易協定(韓米FTA)改悪が強行されている。また光化門に車壁が登場し、集会に対する抑圧的な措置がよみ返っている」「われわれは、キャンドル大統領を出したが、文在寅政府は、キャンドルの命令を履行していない」といった文在寅批判が相次いだ。

 同じ日には、「ハイテックRCDコリア」、「旭硝子」、「コルテック」、「現代車販売」などの闘争事業場の労働者が、青瓦台前で、文在寅政府を糾弾する集会を開催した。集会では、「文在寅政府になったが、路上に追いやられた労働者は相変らず現場に戻れず、全国あちこちで労働者はまた高空籠城をしている」「文在寅大統領が話した労働尊重を実現するには、朴槿恵政権の時に路上に追いやられた労働者がまた生活の基盤にもどれるようにしなければならない」「しかし、文在寅政府の警察は、去る8月に座込場を暴力撤去し、2人を不法に連行した。記者会見も集会だとし、出席要求書を乱発している」「政府は、労働界に対し、朴槿恵政権の2大指針を廃棄したので労使政委員会に参加しろというが、その前に整理解雇、非正規職、労働悪法のようなすべての問題を解決することが先だ」と批判した。

 朴槿恵の下で強行された「労働市場改革」攻撃を粉砕する闘いは、あらゆる産別で闘われている。12月4日、「全教組」は、「法外労組」を撤回させるためのハンストに突入した。全教組委員長は、「全教組を法外に放置している状態で、(文在寅政府の) 『労働尊重社会』は成立しない」と発言し、年内に「法外労組撤回」を貫徹する決意を明らかにした。「建設産業連盟」(建設労組、プラント建設労組、建設企業労組)は、「建設勤労者法改正案」の成立を実現させるために、ストライキを闘うと同時に国会前座り込みを闘っている。12月7日、「全国鉄道労働組合」ソウル地方本部は、ソウル駅前で 「鉄道民営化―成果年俸制推進の主犯、鉄道積弊経営陣は退陣しろ」と、「積弊清算闘争」に突入している。