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 声明

東北・関東大震災被災労働者人民への
現地大支援運動を組織せよ

革命的労働者協会中央委員会

   (一)
 
 東北・関東大震災による死者は、3月21日現在で8000人を超え、行方不明者との合計は2万人を超えたと報道されている。この時点で、阪神大震災をはるかに上回る戦後最悪の犠牲者数となっている。最終的には、犠牲者の数は数万人に達すると言われている。
 家屋を失い、避難所などに避難している人々の数は、数十万人に達している。せっかく地震、津波の中を生きのびて避難所や病院などにたどり着いたにもかかわらず、寒さと飢え、劣悪な医療環境のなかで、病死、衰弱死する人々も相次いでいる。ガソリン、灯油などの燃料、食料、水、医薬品、その他生活用品が枯渇し、しかも頻繁に流される自衛隊や米軍による物資輸送の映像とは裏腹に、それらの不足が日を追うごとに深刻化するという事態となっている。
 東京電力福島第一原発の大事故によって、大量の高濃度放射性物質がばらまかれ、福島県立双葉高校のグラウンドで救援を待っていた双葉厚生病院の患者や職員22人の被曝が確認されている。そして、放射能汚染は、野菜、牛乳から、水道水にまで及び、範囲も、首都圏にまで拡がっている。
 被災労働者人民に対する現地支援を全力で組織しなければならない。

   (二)

 東北・関東大震災は「自然災害」ではなく「人災」である。
 津波による犠牲者が最も多かったのであるが、これは、大資本のためのインフラ整備はしたが、くり返し危険を指摘されながらも必要な高さの防潮堤は作らず放置したからである。御用学者どもに「10メートルを超える津波は想定外」なんぞとは言わせない。1896年の「明治三陸地震津波」では、岩手県沿岸の綾里で38・2メートル、吉浜で24・4メートル、田老で14・6メートルの津波が記録されており、一九三三年には、最大二八メートルにも及ぶ大津波が三陸沿岸を襲っているのだ。
 福島第一原発の大事故は、「メルトダウン」と呼ばれる炉心溶融の段階にある。「メルトダウン」の次にくるものは、「チャイナシンドローム」と呼ばれる現象である。これは、「メルトダウン」によって炉の底に溶け落ちた核燃料棒が高熱を発し炉の底に穴をあけ、すべての放射性物質が外に放出される現象である。福島第一原発には、チェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると言われている。この大事故の原因は、津波による非常用ディーゼル発電機の破損にあるのだから、必要な高さの防潮堤を作らなかったことにも求められるのであるが、何よりも、問題は、核武装を急ぐ日帝の原子力政策にある。昨年3月25日に、東京電力は、福島第一原発一号機について、この原発が40年を迎えるにもかかわらず、超老朽化原発の運転続行を、60年運転も可能だという暴言とともに発表し、原子力安全・保安院がこれを承認しているのである。これは、福井県の敦賀・美浜原発に続く、きわめて危険な判断である。さらに昨年10月26日、営業運転開始から34年が経過した老朽原発・福島第一原発三号機でプルトニウムを濃縮ウランに混合したMOX燃料を使用する危険なプルサーマル営業運転に入っている。
 東北・関東大震災では、マグニチュードが、当初8・4、次に8・8、最後に9・0と変遷しているが、これも、犠牲者が予想以上に多く、原発事故も進んだために、「史上最大の大地震」をデッチ上げなければ、「人災」を隠蔽できないと考えたからという可能性も否定できない。

   (三)

 菅連合政府は、地震発生直後に、「有事法制」の一環である「災害基本法」の「緊急災害対策」を発動した。文字通りの「有事体制」への突入である。3月13日、自衛隊東北方面総監を指揮官とする陸・海・空自衛隊の統合任務部隊を創設し、3月18日には、予備費から自衛隊の燃料費に54億円の支出を決定している。そして、戦闘用装備の自衛隊員10万人を被災地に送り込んだ。
 菅連合政府の目的は、断じて「災害救助」なぞではない。菅連合政府の目的は、「死に体」の政府の延命とブルジョアジーの救済、治安維持と戦時体制形成だ。支配が目的の政府、殺戮が目的の自衛隊、弾圧が目的の警察が、被災者の救援に有効に機能するわけがない。そのための態勢も、装備も、意志もないのだから。
 菅連合政府は、昨年11月の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による韓国・延坪島砲撃をうけての朝鮮半島情勢の一触即発的緊迫を「天佑」だと叫んだが、今回もまた、大震災を自らの延命の手段に使おうと躍起になっている。これを機に「国難」「救国」を叫び、「挙国一致体制」の形成へと突き進んでいるのだ。これに対して自民党総裁・谷垣が「政府への全面的な協力」を約束するなど、議会内野党はこぞって政府批判を引っ込め、「政治休戦」を表明しており、国会は完全に機能を失い、政府方針の追認に終始している。「大政翼賛会」を彷彿とさせる事態が現出しているのだ。おかげで、「2011年度予算と予算関連法案をめぐって国会運営が行きづまり、菅政府が倒壊する」という「3月危機説」は、完全に吹き飛んでしまった。

   (四)

 菅連合政府は、さっそく、「復興特需」に群がる大資本を支えるために労働者人民からの「復興税徴収」を言いはじめている。3月15日、厚生労働省が労働基準監督課長名で、「計画停電による休業については休業手当てを支払わなくても労働基準法違反ではない」とする通達を出した。「計画停電」に至った政府の責任については、ほおかぶりし、資本を救済する立場から、労働者に無給の休業を強制するものである。
 菅連合政府は、自衛隊・警察が「混乱回避」を口実にして高速道路・鉄道を統制下に置き、食料や飲料水など「支援物資」の被災地への輸送を自衛隊が一元管理し、労働者人民が被災者救援のために物資を携えて被災地に入ることさえ許さない治安優先の体制を取っている。自衛隊・警察が被災地を完全に隔離・封鎖しているのだ。かろうじて被災をまぬがれ営業していたガソリンスタンドのガソリンは、自衛隊・警察が全部持って行ってしまう一方で、自衛隊や米軍が被災地に輸送した「支援物資」は配布する体制も人もなく、集積拠点に山積みされたままになっているという状況が各所で起こっている。こうした状況の中で、菅は、さらに追い討ちをかけるように仙谷を「被災者支援担当」の官房副長官に、辻元を「ボランティア担当」に登用し、労働者人民の被災労働者人民支援の行動を「ボランティア登録制」などで統制せんとしている。菅連合政府の治安優先の姿勢は、福島第一原発の炉心冷却のための放水に、真っ先に警察機動隊の放水車を投入したことにも透けて見える。機動隊の放水車は、デモ鎮圧目的で配備されてきたものだ。とどく訳がない。こんな発想は、治安対策しか考えていない人間にしか出てこない。革命軍が標的とした陸自大宮駐屯地の中央特殊武器防護隊も、原発事故対策なんぞ自分たちの任務ではないとばかりに、さっさと、福島第一原発から遠く離れた郡山駐屯地に自主退避しているのである。
 御用学者どもは、「メルトダウン」は2800度で起こるとしているが、ウソッパチである。スリーマイル島原発事故では600度も低い2200度で「メルトダウン」が起きているのである。地震発生当初から、非常用ディーゼル発電機がまったく働かないというのだから電源車が到着したかどうかに鍵があるのに、その最も重要なことについてさえ報道されなかった。菅連合政府が、福島第一原発の大事故について、情報隠し・被曝隠しをくり返し、「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリと同じようにはならない」として、「世界一安全」「安全でクリーン」などの「安全神話」の護持にこだわるのは、自らの原子力政策を維持するためである。「新成長戦略」の目玉である「原発輸出」のためである。そして、何よりも核武装のためである。何が「北朝鮮の核の脅威」か。また、菅連合政府は、地震発生直後の3月11日、早々と日米の「調整所」を設置した。そして、3月13日には、日米安保の新「ガイドライン」に基づく「包括的調整メカニズム」をフル稼働させている。日米安保の実戦的発動である。

   (五)

 米軍は、「トモダチ作戦」と銘打って、原子力空母「ロナルド・レーガン」をはじめ、横須賀・佐世保基地所属の艦船など14隻を東北地方沖に集結させるとともに、沖縄・普天間基地から海兵隊のC130輸送機とCH46輸送ヘリなどを、日本「本土」に送り込んだ。この「作戦」の主力を担っているのが、在沖米海兵隊である。これについて米帝は、「普天間基地の位置が、第三海兵遠征軍の災害対応活動に極めて重要であることが証明された」「普天間基地が本土に近いことは極めて重要だ」などとくり返し表明している。「災害救助」をダシにして、名護新基地建設阻止の闘いをはじめとする沖縄労働者人民の反戦・反安保・反基地の闘いを黙らせ鎮圧するために、逆襲的な一大パフォーマンスをやっているのだ。なお、「ロナルド・レーガン」は、朝鮮半島で行なわれている米韓連合野外機動演習「フォール・イーグル」に途中から参加するため、3月9日に米第七艦隊に合流していたが、大震災発生をうけて、急遽この「作戦」に振り向けられたものである。当初の予定では、「フォール・イーグル」参加後は、アフガニスタンでの攻撃作戦に従事する計画であったという。空母の乗員も海兵隊も、血にまみれた手で被災者にいったい何をするというのか。
 日帝ブルジョアジーは、虎視眈々と「復興特需」のおこぼれにあずかる機会を狙っている。早くも復興関連企業の株価は上昇し始めている。大資本にとってもまた、大震災は恐慌によらずに恐慌による価値破壊と同様の効果を生む、まさに「天佑」なのだ。日帝ブルジョアジーは、この「天佑」を逃がさじと、「すべての労働者は資本が受けた打撃を労使一体となって受け入れ、窮乏を耐え忍べ」とばかりに「非正規雇用」労働者の「雇い止め」に始まる大量解雇攻撃をしかけてくるであろう。「震災解雇」はすでに始まっている。「連合」は菅の自衛隊投入を「迅速・的確な対応に敬意を表する」とし、「被災者支援カンパ」でアリバイ作りに終始している。
 自衛隊の部隊まるごとの反乱を組織し、「労働者自身の協同組合工場」(マルクス)をも展望し、東京電力の労働者も含めた労働者人民の手に全生産を掌握すること、これを取り仕切ること。これが展望である。
 

 寄稿

 政府・東京電力を弾劾しよう! 原発も核燃もいらない!

 反核燃闘争を闘う仲間

 福島原発事故は人災だ

 闘う仲間の皆さん!
 われわれは原船むつ闘争から反核燃闘争と闘い続けてきた。今回の福島原発事故は「未曾有の巨大地震や大津波」のみによって生じたものではない。
 そもそも、各地の反原発のグループは、原発差し止め訴訟などで「マグニチュード9クラスの地震や大津波によって原発は破壊され、放射能は広大な範囲にまき散らされ、原発周辺は人も住めないようになる」と訴えてきた。電力会社や国に対し、地震、津波への対応が充分でなく、危険だ」と申し入れをくり返し行なってきた。多くの研究者や学者が、地震と津波による原発事故の危険性を学会や出版物等で明らかにしてきた。
 それを「ありえないことだ」として電力会社も、経済産業省の外局である原子力安全・保安院も、内閣府に事務局を持つ原子力安全委員会も、裁判所も認めてこなかっただけのことだ。
 「想定外」というのは、東京電力や国が、「安全」を想定外にしていたということだ。
 東京電力をはじめすべての電力会社は、原発の経済性のみを考え、設計・建設してきた。そして、「原発安全神話」を流布してきたのだ。「人々をだますこと」を目的としていた「安全神話」だったが、電力会社も原子力安全・保安院も原子力安全委員会も「神話」にどっぷりと浸ってしまっていたのだ。
 「原発は五重の防御で守られている」「重大な事故は起こらない」「チェルノブイリの事故はソ連だから起きた、日本ではありえない」等々。それ故、住民避難訓練も「住民の原発不安を引き起こす」という理由で行なわなかったし、重大事故への一切の準備もなかったのだ。
 事故後は、東京電力、原子力安全・保安院、原子力安全委員会のそれぞれが、責任逃れを行なっており、事態の悪化はチェルノブイリ事故を超えようとしている。

最大の責任は政府・東京電力にある

 東京電力の染みついた隠蔽体質は、ここに至っても変わらず、事態を悪化させてきた。地震と津波により原発が重大な損傷を受けたのにもかかわらず、直後の発表は「原子炉は正常に停止」というものだった。テレビで三号炉の爆発が映し出されているにもかかわらず、事実確認すらしない状態が続いた。
 3月24日に作業員三人が被曝する事故は、東京電力が6日前に通常時より以上に高い放射線量を確認しながら作業員に注意喚起をしなかったからだ。しかも、事故直後には、「現場は前日まで高い放射線量はなかった」と発表しているのだ。
 3月31日、NHKニュースは福島原発の事故処理にあたる作業員が線量計を持たずに作業させられていたことを放送した。NHKの取材に東京電力は、「事故と津波で5000台あった線量計が320台に激減したので、作業チームの代表者に1台だけ持たせていた」ことを認めた。重大な問題であるにもかかわらず、原子力安全・保安院は口頭注意しただけだった。東京電力は、20日間も、NHKで明らかにされるまで総量計を補充しようとはしなかったのだ。その後1日で約100台確保したというのだから、意図的だったのではないか。総量計がなければ、被曝線量がわからないから、危険な作業を長時間させられると考えていたのだろう。
 原子力安全委員会も情報を隠していた。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)での試算結果を発表したのは3月23日になってからである。30キロメートル圏外でも内部被曝が100ミリシーベルトに達する地域が多くあるとの結果がでた。原子力安全委員会委員長・斑目(まだらめ)は、「非常に厳しい条件を設定した。ただちに対策をとる必要がない」という。原子力安全委員会の基準を超えても対策をとらないとは何事だ。SPEEDIが緊急時迅速と言いながら役に立たないのは、システムに問題があるのではなく、原発事故を過小評価しようとする原子力安全委員会に問題があるのだ。その後の発表はない。
 原子力安全委員会は国会の同意を経て首相に任命された5人の常勤委員で構成され、原子力行政の規制機関である原子力安全・保安院を中立的な立場から指導するのが役割だ。実際は、原子力安全・保安院と同じく原発推進機関でしかない。3月23日の記者会見で斑目は、「枝野長官への助言という黒衣役に徹していた」と述べ、住民の安全を一切考えないことを露骨なまでに表明した。

菅―枝野による住民圧殺

 原子力安全委員会の「助言」を受けた最高責任者である菅直人、スポークスマン枝野は、デタラメ、無責任な指示や発言をくり返している。
 その最たるものが、20〜30キロメートルの屋内退避と野菜の出荷制限、摂取制限である。設定がデタラメである。
 チェルノブイリ事故で明らかなように、放射能汚染は同心円に広がるのではなく、風向きや雨によって、遠く離れた地点でも非常に強く汚染されることがあり、近くでも汚染が少ないこともあるのだ。遠く離れたフィンランドやスウェーデンで危険な数値が計測されたことはよく知られている。
 南相馬市のように、2万人もの人たちが屋内退避を1ヵ月近くも続けているのは、菅―枝野の住民殺しだ。一方では、30キロメートル圏外でも非常に高い放射能値を計測しているのに、原子力安全委員会の斑目同様、「直ちに危険かどうか判断するに至っていない」として、退避指示、屋内退避指示を出さないでいる。「見えない、臭わない」放射能の危険を住民が知ることは不可能なのだ。その間放射能を浴び続けろということだ。
 野菜の出荷制限は県単位とし、解除のメドもたたない。このままでは、福島県や北関東の農民は困窮し、農業は壊滅する。
 「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)にひた走り、農業破壊に動いている菅―枝野は、農業の壊滅的状況に何の方針も示さず、福島の農民の「このままでは生殺しだ」という血の叫びを聞こうともしなかった。厳しい批判と農民の叫びに、4月4日になって政府は、「県単位から市町村単位にする」と発表せざるをえなくなった。だが、検査体制、測定機器の準備も整っていない状況である。

放射能汚染水が海に

 4月4日になって東京電力は、環境基準の500倍の放射能で汚染された水1万1500トンを海に放出し始めた。二号機の高濃度汚染水が流れ出るのを防ぐためだという。二号機の高濃度汚染水10リットルが放出され始めた低レベル汚染水1万トンに当たる。100万倍の放射能レベルだという。環境基準の5億倍の超高レベルの汚染水が第一原発から限りなく流れるのを防ぐためだという。海水を原子炉建屋内に投入した時点で、投入した水があふれ出ることは考えられるわけで、その手当てもしていなかったということだ。
 監督すべき原子力安全・保安院は、東京電力のスポークスマンでしかない。原子力安全委員会は、「政府とは話し合っている」というだけで、具体的な指示も方策も出さないでいる。東京電力は修理方法もわからず場当たり的な作業をくり返し、事態を最悪の方向へと進めている。テレビに出てくる原発推進派御用学者は、「この作業が進めば改善に向かう」「レントゲンより低い被曝量だから安全」「海の水で薄まるから大丈夫」など、原子力専門家とはこの程度のものなのだ、ということをさらけ出している。
 このように、東京電力、原子力安全・保安院、政府は常に「安全に推移している」と発表し、「そうなってほしい」という願望だけで、実際の対策を放棄し続けている。データも出さずに記者会見もほとんど行なわない原子力安全委員会は論外である。
 このような無責任で、なんら解決策を持ちえない連中が日帝の原子力政策を進めている。炉心溶融、メルトダウンの可能性も高いのだ。チェルノブイリを超える大惨事が起きようとしている。

緊急にわれわれのすべきこと

 すべての原発、核燃を止めるよう運動を行なうこと。学習会、集会、情宣活動、署名、デモ等、ありとあらゆることをすることだ。
 世論調査では、いまだに原発容認が五割もあるという。原発事故が起きれば、どこでも放射能汚染現地なのだ。福島原発事故で明白なように、放射能は立地町村や県境をアッという間に越えた。北関東や千葉、埼玉、東京の野菜や水道水が放射能で汚染された。原発事故は、福島だけの問題ではないことをしっかりと訴えていくこと。
 東京電力は、東京電力管内には原発を立てていない。福島や新潟という東北電力管内に立てているのだ。その理由は、福島原発事故で証明された。危険なものは遠くに置くというのだ。大都市圏は、地方を踏み台にして便利さや、利益を得ているのだ。
 原発立地県だけの問題ではない。原発も核燃もいらない。すべての原発、核燃料を止めよう。やるべきことは山ほどある。行動あるのみ。

2011年4月5日

 被災地からの訴え

女川原発反対同盟 阿部 宗悦氏

 3月11日の東北・関東を襲った地震と大津波により、ここ女川も壊滅的な被害を受けました。この大震災で福島原発は放射能漏れという事故を起こし、われわれが前から心配していたような事態が起こっています。
 原発推進派の学者を登場させての「安全」という報道に惑わされず、政府と東京電力を追及しなければなりません。福島原発、女川原発を始めとする全国の原発を止めるわれわれの闘いを強化し、心配なく生きていける社会を共につくっていきましょう。
 全国の闘う仲間の皆さん。被災地の支援、反原発の闘いへの支援を訴えます。

2011年4月10日 

 日本キリスト教改革派亘理教会牧師 林 茂雄氏

  私自身の被害は軽く済みましたが、同じ亘理町の幼稚園児が地震発生後に送迎バスに乗っていたものの、親の迎えを待っている間にバスごと津波に飲み込まれ、10人以上が亡くなるという痛ましい事態が起きています。
 震災から数日後、福島第一原発から30キロメートル付近の南相馬市まで教会で集まっていた救援物資を運びましたが、そこには住民が残っているにもかかわらず「自主避難要請」が出ているために、避難所が開設されず、救援物資も届かないという現実を目の当たりにしました。このような現実をもたらしたのは、政府であり東京電力です。「想定外」と言うことをもって責任逃れをすることを許さず、徹底的に追及しなければなりません。
 亘理町だけでも2000人以上が避難生活を強いられ、震災を受けた労働者・市民の避難生活は長期間となります。私も地元で被災者支援を取り組みますので、全国の皆さんの御支援をよろしくお願いします。

2011年4月7日


労働運動の真価が問われている
東北・関東大震災被災現地支援を闘おう

宮城県地域連合労働組合

亘理町で炊き出し支援開始

 4月17日、私たち宮城県地域連合労働組合(宮地連)は、3月11日に発生した東北・関東大震災被災現地への支援活動を開始した。以下、この間の3回にわたる被災現地支援活動の報告を行ない、今後の闘いの決意を明らかし、支援と連帯を訴える。
 宮地連は被災現地支援活動を東京・山谷日雇労働組合と連携して、地震と津波で被害を受けた宮城県南部の亘理町で開始した。亘理教会の林牧師(「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」・呼びかけ人)の助言と協力を受けながら、亘理小学校の体育館に開設されている避難所での炊き出しに取り組んだ。亘理町には5ヵ所の避難所がある。私たちが支援に取り組んだ亘理小学校避難所では地震や津波で家屋が倒壊したり流失した被災者約300人が避難し、仮設住宅ができるまでは間仕切りもない避難所での厳しい生活を強いられている。グラウンドには京都府の今津駐屯地から派遣された自衛隊が隊員の食事を作り駐屯している。ここには東京都・練馬区や大分県などの自治体労働者が支援に派遣されており、その自治体労働者は「被災者のほとんどが高齢者で、長期の避難生活で疲労も激しく、健康面でも心配だ」と語り、また、「家も職場も津波で流された。社長の指示で避難所の支援に来ている」という地元の労働者は、「朝晩の冷え込みがきつく、風邪をひいている人は多い。衣類の冬物は充分だが、春から先の衣類が全くない。歯磨き粉や消毒液など衛生関係の物資も不足している」と話す。風呂は1日1回は入れるようになったとはいえ、体育館内での長期の避難生活では心身ともに安らぐことはない。早急な対策が必要とされている。
 今回、私たちが行なった支援活動はシチューと漬物の炊き出しだ。午前11時頃から準備を開始し、午後5時の配食までに300食を用意した。配食前には体育館の中に招かれ、被災者に紹介され、宮地連の執行委員が「また来週も炊き出しの支援活動に来ます。継続して支援活動を取り組みます」とわれわれの決意を伝えた。
 第2回目の支援活動は、4月24日に行なった。前回と同じ亘理小学校避難所での炊き出しだ。午前10時頃に現場に到着して準備に入った。今回も東京・山谷日雇労働組合の協力を得ながらの炊き出し支援活動である。そこでは横浜の歯科医院に勤務していて、支援に来たという歯科技工士と会って話をした。その労働者は「昨日、今日と約70人の入れ歯洗浄をした。入れ歯をしている高齢者には絶対に洗浄は必要不可欠なこと。入れ歯が合わないと食事が食べられないし、歯が汚れていては美味しくない。それは体調だけでなく精神面にも影響する」と語っていた。聞くところによると、やはり不足しているのは衛生関係の薬品だそうである。移動郵便の車両が来ていたが、全国でもこの車両は少なく、各避難所を廻ってるが亘理小の避難所には初めて来たとのことで、その郵政労働者は大阪府や福島県の白河から派遣されていると言っていた。前回の炊き出しを手伝ってくれた地元の労働者がいたので、「社長からの指示で支援に来てるそうだが、その間の給料などは出ているのか?今後の生活は?」と聞いたら、「職場が津波で潰れたから金は出てない。でも、新しい職場がみつかったから大丈夫。仮設住宅が出来たら入って、そこから出勤する」とのことだった。今回のメニューは八宝菜で、300食を用意した。
 第3回目は、亘理中学校避難所での炊き出し支援だ。ここも体育館が避難所になっている。今回は、私たち宮地連と宇都宮大学の学生で炊き出しを行なった。メニューは前回と同様の八宝菜。この避難所にいる被災者は約240人。5月頃から仮設住宅が部分的に完成し、避難所の人数は徐々に減る見通しとのことだが、全員が仮設住宅に入居するには、まだまだ時間がかかるらしい。午後5時の配食前に避難所の責任者から挨拶を要請されて避難している人たちの前で紹介され、宮地連の執行委員が「今日は仙台を中心に活動している宮城県地域連合労働組合と宇都宮大学の学生で八宝菜の炊き出しを作りました。働く者同士の助け合いが労働組合の原点だと考えています。今後も継続して被災者への支援活動を取り組みます。これ以上の『人災』を拡大させないように頑張りたいと思います」と被災者への挨拶と激励を送った。

物資の支援、労働相談活動へ

 私たちは週1回の炊き出しを支援活動の手始めにして、物資の支援、労働相談と、さらに支援活動の領域を拡大していく。宮城県内では被災者の仮設住宅への入居が開始されたが、現段階でのその数は圧倒的に少なく、避難所での厳しい生活は長引きそうだ。加えて梅雨に入る6月頃からの衛生管理、食糧、衣類などの不足が心配されるという。また、まだ開始された段階だが、被災者を中心に避難所の自主的運営が行なわれているところも出てきているという。被災地の地元企業は、再生不可能な被害を受けた中小企業が多く、なかでも県北では水産企業が大打撃を受けている。地元企業は工場の再建をめざしているが、費用がかかり、地方交付金などでは足りず、再建するのかどうかの判断を迫られているという。宮城県知事はその被害の甚大さを受けて「国有化」に言及している。「震災解雇」や職場の流失による失業も増大し、ハローワークに出された雇用保険の需給申請は既に出されたものだけでも宮城県で約4万件、岩手県で約3万件というように増え続けている。また自営業や「非正規雇用」労働者は雇用保険の受給資格もないまま放置されている。
 避難所で始まった被災者自身による自力・自闘の運営や、労働者の生活と権利を守る闘いと結びつくためにも、私たち労働組合には現地支援活動の継続と強化が求められている。
 また、われわれは「復興」がいかなる「復興」なのかを労働者階級の立場から問題にしなければならない。大震災前から吹き荒れていた「派遣切り」「非正規切り」が横行するような「復興」を許してはならないし、農業・漁業・地場産業で働く労働者を犠牲にしていくような「復興」を許してはならない。帝国主義労働運動・「連合」会長の古賀は東京電力福島第一原発が放射能を撒き散らし、今後さらにその被害が拡大しようとしているにもかかわらず「日本の原発は大丈夫。被害は大きくない」などと世界にアピールしている。資本の立場に立ち、ブルジョア的「復興」の推進勢力としての姿をあらわにしている。こんなものを許してはならない。自治体労働者は震災後、再任用―非常勤の労働者も休日など関係なく被災者の生活に密着した業務や避難所での宿直などを不眠不休でやりぬいている。「公務員制度改革」―公務員の大量削減がすでに強行されている自治体では職員不足が露呈し、全国から派遣された自治体職員によって各自治体の機能がやっと維持されているという現状だ。自民党―民主党と強行してきた公務員削減攻撃が労働者人民に不可欠な生活に密着した業務と人員をどれだけ切り捨ててきたかがこの大震災であらわになった。被災地から「公務員制度改革」―公務員大量解雇攻撃粉砕の圧倒的な声と闘いを巻き起こしていかなければならない。
 労働者人民を襲う大災害が起き、人間が生きてゆく基本である衣・食・住が「治安優先」「大資本防衛」「戦時体制形成」のブルジョア政府と国家権力によって統制されることを労働組合が許してはならない。各地の避難所には日本赤十字が炊き出しのかまど、大鍋、プロパンガスボンベを配布しているが、いざ、労働組合が被災者支援の炊き出しをやろうとしても、その準備がない労働組合が多い。その意味では寄せ場の労働組合が「一人の野垂れ死にも許すな」として取り組んできた越年・越冬闘争の蓄積がこの時に大きな力となっている。最も厳しい条件に置かれている労働者人民の24時間の生活問題に解決力を示せる労働運動でなくては労働運動の存在意義が問われる。宮城県地域連合労働組合はこのことを核心にして被災現地の労働組合として持てる力のすべてを出し切る決意だ。今回の大震災を労働運動の真価を問う事態として受け止め、被災者の力になろうとする労働組合、労働者は是非、被災地に赴き、階級的労働運動の実践をわれわれとともにやりぬいてほしい。絶大な支援と連帯を訴えます。


被災者を犠牲にしたブルジョア的「復興」を許すな!
学生が先頭に起ち、東北・関東大震災被災現地への圧倒的な支援を闘おう!

東北大学社会思想研究会

全国の学生は被災現地へ

 全国の学生諸君! 東北大学の全ての学生諸君! 新入生の皆さん!
 東北大学社会思想研究会は、われわれと共に3・11東北・関東大震災被災地に赴き、被災者への支援活動に全ての学生が起ち上がることを訴える。
 3月11日午後2時46分、宮城県沖を震源とするマグニチュード9・0という「日本の観測史上最大」の大地震が発生し、その直後には福島県沖、茨城県沖を震源とする大地震と数十メートルに及ぶ大津波が東北地方の太平洋沿岸部を中心に関東沿岸部をも襲った。
 この大地震と大津波により、4月30日現在、2万5000人以上の労働者人民が死亡または行方不明となり、多くの労働者人民の生活基盤が根こそぎ破壊された。家屋や仕事を失った被災者は数十万人にものぼり、交通機関の停止、道路の遮断、港湾施設の破壊などで食糧、燃料、医薬品などの物資が不足している。労働者人民は苦しい避難生活を強いられている。
 甚大な被害を受けた東北・関東各県の中でも死者、行方不明者が一番多かった宮城県太平洋沿岸部の市町村では、大津波により内陸部数キロまで押し流された船舶、流されて破壊された家屋や車両などが、未だに瓦礫の山を築いている。漁場や漁港も破壊され、津波の塩害などで田畑も大きな被害を受けており、地元の農民・漁民・労働者の今後の生活は全く見通しが立たない状況だ。
 3・11大震災から約2ヵ月近くになろうとしている。主要幹線道路や鉄道などは徐々に復旧し、物資も入って来ているが、長期にわたる避難生活で被災者の疲労は極限に達しており、現在も厳しい状況下に置かれている。 
 今、われわれ学生に求められているのは、労働者と共に被災者支援の闘いに起ちあがることだ。新入生や多くの学生を被災現地支援に組織しよう。
 われわれは地震が発生したその夜から、仙台にいた少数の学生や労働者の介護者とともに全障連東北ブロックの「障害者」や地域で生活している「障害者」への連日連夜にわたる介護に取り組んできた。交通機関やライフラインが停まっている「障害者」のところには、自転車で物資を運びながら、「障害者」の生活を支援してきた。強い余震などで緊張を強いられている「障害者」の体調に影響が出ている。帰省していた学生が戻ってきているとはいえ、まだまだ介護体制は充分ではない。共闘・共生を掲げて、「障害者」と共に介護体制の構築に向けて奮闘する。
 今回の震災によって労働者人民が被った被害は、大地震、大津波という「天災」によるものだけではない。歴代の自民党政府と民主党が主導する現在の菅政府が大資本のために、「安価なコストと高利潤」を追求したインフラ整備を行なってきたために引き起こされた「人災」なのだ。

日米共同の「有事法制」を粉砕しよう

 「人災」による被害は福島第一原発での事故にも示されている。津波によって冷却装置が停止し、「燃料棒の溶融」と高熱で「水素爆発」が起き、原子炉の建屋の屋根が吹き飛び、高レベルの放射能が広範囲に渡って漏れるという事故が起きた。地元はもとより近隣の県や労働者・農民・漁民の命と生活を脅かしている。政府と東京電力は「津波の高さは想定外」等と無責任に言い放っているが、われわれはこのような言い逃れを許さない。徹底して弾劾する。
 震災直後から政府は、「有事法制」の一環である「災害対策基本法」―「緊急災害対策」を発動して陸・海・空の自衛隊出動を命じ、「10万人体制」を敷いて自衛隊員を被災地に投入した。さらに米軍は「トモダチ作戦」と称して、原子力空母「ロナルド・レーガン」を始めとする約20隻の艦船と海兵隊を展開させた。まさに日米共同の「有事体制」そのものだ。われわれは戦争遂行のための体制づくりを許さない。
 東北大学は5月6日に入学式を各学部ごとに行なうとしている。昨年、入学式の時、大学当局は学生の自主的サークル活動を統制下に置こうと社会思想研究会を始めとする20団体を名指して「歓誘に注意」というビラを新入生に配布した。今年も当局のサークル活動への妨害が予想されるが、われわれはそれをはねつけ、東北大における被災者支援活動の組織化に向けて、新歓闘争を闘いぬく決意である。
 今回の大震災によって数十万人の失業者が生み出され、岩手、宮城、福島の東北三県の農業、漁業、地場産業が壊滅状態となり、福島第一原発による放射線被害はますます拡大している。この事態に対して学生はいかなる立場に立つのかが厳しく問われている。大震災による失業の拡大は、震災以前から深刻化していた雇用情勢をさらに悪化させ、学生の「就職難」を強めるだろう。また、農業、漁業、地場産業の被害に対して大資本はあくまで「コスト優先」「利潤追求」の視点から1960年代に強行した「エネルギー転換政策」による炭鉱の閉山攻撃に匹敵するような被災地での産業政策の一大転換攻撃をかけてくる可能性が高い。これを学生が自己保身にもとづいて易々と認めるのか否かということだ。すでに菅連合政府は「復旧・復興」を取りざたしているが、被災地の労働者人民が「棄民」とされ、「派遣切り」「非正規切り」「過労死」「自殺」が蔓延するようなブルジョア的「復興」を容認して自らの人生を立てることは反人民的な人生の選択をするということだ。
 まず、何より被災地に立ち、そこで呻吟する労働者人民・被差別大衆の立場に立ち切り、その怒りと要求を実現することを学生が先頭に立って自らの課題にしなければならない。
 東北大学社会思想研究会は全国の学生の先頭に立ってこの闘いに起ち上がります。すべての学生がともに起ち上がることを呼びかけます。